人類が太る仕組みを手に入れた理由

太ってしまって困る人も多いのですが、人類は進化の歴史の中でわざわざ太る仕組みを獲得しました。

太らない仕組み

人類の進化の歴史を紐解くと、人類の祖先はサルから分かれてアフリカから始まったそうです。
人類がアフリカにいた頃には、肉食動物のエサになってしまいますので太りすぎることはありません。
というよりも太りすぎると肉食動物に食べられることで生き延びる確率が下がるので、太りすぎない仕組みが備わっているはずです。実際に肉食獣の歯形のついた人骨が発掘されているそうです。太ることは正に死活問題だったはずです。多くの動物に備わっているので、人類の太らない仕組みはアフリカで肉食動物に追いかけられる以前に獲得していた可能性が高いと思います。

万が一太ってしまったら肉食動物に食べられてしまうことで子孫が残せず、太らない仕組みが働かない遺伝子は自然淘汰されて今に至るはずです。

少なくとも多くの人類に太らない仕組みが備わっているはずです。全員に備わっているとは言えないのは、太らない仕組みが病的に欠損してしまっている人達がいるからです。

太らない仕組みを持ちながら、太る仕組みも手に入れたのは何故でしょうか?

そのことを書いていきたいと思います。

人類が太る仕組みを獲得した理由

人類の進化の歴史は他の動物の歴史と同様飢えとの戦いでした。飢えに備えて進化の過程で様々な能力を身につけました。実は人類が太る仕組みを獲得したのも飢えに備えてでした。
飢えに備えて太る仕組みを獲得したというのは不思議に思えるかもしれませんが、確かに太る仕組みは飢えに対して有効です。その仕組みを解説していきます。

年中食料が獲得できる地域ではわざわざ太る必要はありません。季節に関係なくいつでも万遍なく食料が確保できるのであれば、身体に蓄える必要がないからです。

太る仕組みが備わった理由の一つは四季の変化です。四季の変化のある地域では、夏や秋を中心に果物や作物が偏って収穫できます。穀物のように保存の効くものは少なく、その場で食べてしまわないと腐ってしまうのです。

穀物以外の食料の特徴です。

  • 食料の取れる量が季節毎に偏りがある
  • 保存が効かない

この2点からせっかく大量に食料があっても、腐ってしまうのです。
そのうえ収穫の少ない季節、例えば冬には食料不足で飢えてしまうのです。
食料が余ってしまう季節もあれば、食料が足らない季節もあったことが考えられます。

太った方が得をした?

秋に大量に見つかる食材が腐ってしまう前に食べてしまうのが一番です。しかし先程の太らない仕組みが邪魔をします。元々太ってしまうと生き延びる確率が下がっていたのですから、太らないように仕向けるのは当然でした。食べ物の不足する冬のことを考えると、その仕組みをすり抜けてでも食べ過ぎた方が生き残りに有利な状況になりました。この頃には人類は知恵をつけて、太っても肉食動物に襲われにくくなっていったようです。

つまり太ると損から太ると得する常識の大転換が起こったのです。

太る具体的な仕組み

今のように年中食材が手に入る時代とは違い、冬になれば食料が不足するのはわかっていました。そのため秋の実の季節にできるだけ多くの食べ物を食べた方が生き残りに有利だったのです。お腹がいっぱいでも無理して食べた方が、冬の実り少ない時期に備えて脂肪を蓄えることが出来ました。本来の食べ物を更に魅力的に感じる衝動買いと似たような錯覚を起こすことで、脳を騙して多く食べたものだけが厳しい冬を乗り切ることが出来ました(実際には衝動買いがこの冬に備えて秋のどか食いの名残りです)。

冬を乗り切るために、秋の実りを出来るだけ多く食べるように脳を騙してしまうことです。(糖質依存)

太る仕組みは冬を乗り切るために身につけたのです。ただしこの頃はいくら太ったとしても、冬には食料不足になるので、今のように大きな問題となることはありませんでした。

自分達で食料を増やす農耕が始まり、好きなだけ食べることで太り過ぎが問題となりました。まさか糖質に罠が仕掛けられていると知らなかったから、まんまと糖質に騙されてしまったのです。あたかも人類が大きな大きな落とし穴に落ちるように。

ふと考えてみるとイノシシも秋の間に大量にドングリを食べて皮下脂肪を蓄えるので、人類がお猿さんの時から生き延びるために備わっている仕組みなのかも知れませんね。

投稿者:

呉からの風

呉の医師です。 糖質回避教の推奨者です。 様々な分野で気づいたことを掲載していきます。 怒る必要のない子育てを掲載予定です。