医者を選ぶのも寿命のうち

医者を選ぶのも寿命のうち  とは、医者を選ぶ時点で寿命が決まるかもしれないという話です。

残念ながら医者も人間ですからミスも知識不足もあります。私は患者さんを不幸にしたくはないので、出来る限り医療ミスや見落としが無いように最悪の可能性を考えながら診療しています。

しかし残念ながら医者によってはそのようには考えられないようです。この違いは医者としての初期教育によるのかもしれません。私は若い頃訴えられる診療と訴えられない診療の違いを叩き込まれました。実際に殴られたので本当に文字通り叩き込まれたのですが、今となっては懐かしい思い出です。そしてこの経験のおかげで色々なことがわかるようになりました。そのようなトレーニングを積んでいない医者には、訴えられると裁判で負けるという発想は皆無です。裁判に負けないために診療をする訳ではありませんが、最低限訴えられない診療を行うのは医者として最低限の心得のようなものだと私は思います。

例えば長年診療しながら病理を確認することを怠り、癌を見落としていた事例が2件あります。肉眼で癌には見えないから病理を確認しなかったらしいのですが、本来なら治るはずのものが治らなければ、万が一の可能性を考えて病理を確認するべきす。2人とも癌の可能性を完全に否定していました。万が一の可能性を考えて、念のため反対を押し切り確認したところ癌細胞が見つかってしまいました。それぞれ別の医者です。2人とも専門医を持っていることが自慢でしたが、長年診ていながら1人の患者さんでも癌を見落としてしまえば専門医には何の価値も無いと私は思います。幸か不幸か裁判にはならなかったようですが。

医者によっては知識不足と自信過剰と思い込みなどの様々な可能性により診断を誤ってしまうことがあるということです。そして私を含め生身の医者であれば誰でも似たようなことが起こりうるという話です。そのような不幸なことを起こさないために、最悪の可能性を考えて医者は診療に当たるべきなのです。そして患者さんも医者を選ぶべきなのです。命に関わらない病気であれば、そこまで神経質になる必要はないかもしれませんが、命に関わるかもしれない病気であれば慎重に医者を選ぶ必要がありそうです。

最悪の可能性を考えて診療を行う医者は信用出来ると思います。考え得る最悪の可能性の中から情報を集めることで、やはり最悪の状態なのかそうではないのかふり分けることが大切です。

今回このようなタイトルの記事を書くのは、知り合いの家族の話を聞いたからです。首に腫瘍が出来て開業医から総合病院を紹介され、癌の一種だと言われたそうです。手術にするか化学療法にするか家族で話し合って決めてきて欲しいと言われ、悩んでいるとの相談でした。結局家族では決めることが出来ないまま受診すると、院内の話し合いで首のものが原発ではない可能性があるという話になりました。つまり胃癌など他部位からの転移ではないかという話になったそうです。話が二転三転するため不信感を抱き、他院への紹介を願い出たそうです。通常病理を確認してあると原発のおよその検討はつくはずなのでおかしいなと思いながら話を聞いていました。詳しく聞いてみると、家族からの伝聞ですから確かなことはわかりませんが、悪性と断定し手術か化学療法の話が出ているにも関わらず病理での確認はされていなかったそうです。つまり確定診断がなされないまま、癌の治療が始まっていたかもしれないのです。一連の話から他院へ紹介してもらって正解だと思いました。

結局他院で行われた検査では、首に出来た腫瘍は悪性のものではなく、結核の可能性が高いそうです。これは上記の悪性を見落とした話とは反対で、思い込みにより確定診断せずに治療しようとした例です。結果として悪性ではなさそうなので幸いでしたが、医者を選ぶのも寿命のうちと改めて思いました。

実は後で聞くと何故主治医がそのような治療法を選んだのか理解に苦しむことがあります。病院の利益のためか、治療経験を積みたかったのか、実績としたかったのかその目的はわかりませんが、患者さんのために治療法が選ばれたとは思えないこともあります。もしかしたら医者によって医者をしている目的が異なるのかもしれません。

他にも医者が病気のことを良く知っていれば治るかもしれない病気でも、医者が知らないと治るものも治りません。例えば2型糖尿病は糖質回避により治ります。アトピー性皮膚炎やニキビも簡単に治ります。幸いアトピー性皮膚炎やニキビで命を落とすことは通常ありませんが、2型糖尿病では透析が必要になる可能性や足の切断が必要になる可能性があります。最悪命を落とす可能性もあります。近い将来糖質回避を患者さんに説明しなければ、訴訟の対象になるかもしれません。医者が従来の常識にとらわれていると、患者さんに不利益をもたらすかもしれません。

糖質の害を知っている医者を選ぶか知らない医者を選ぶかで、もしかしたら寿命が変わるかもしれません。病気によっては糖質の害を教えてくれる医者を選ぶようにしましょう。少なくとも納得出来る医者を探すようにしましょう。説明に納得出来なければ思い切って別の医者にかかるのも一つの選択肢です。

医者を選ぶのも寿命のうちです。

医者であれば医師免許は持っているので最低限のレベルは確保されていますが、実際には知識や医療レベルは医者によって様々です。専門医があるからといっても、安心は出来ません。むしろ過信しているかもしれません。ちなみに2型糖尿病に関してある糖尿病専門医に糖質回避を進言しましたが全く受け入れられませんでした。

このようにバラツキのある生身の医者よりも人工知能による最適な治療が実現する方が、患者さんのためなのかもしれません。それまでの間は納得の出来る医者を探すようにしましょう。

投稿者:

呉からの風

呉の医師です。 糖質回避教の推奨者です。 様々な分野で気づいたことを掲載していきます。 怒る必要のない子育てを掲載予定です。