糖質一度に食べ過ぎ症候群の病態(仮説)

先日発表した糖質一度に食べ過ぎ症候群の病態、病気の起こるメカニズムの仮説を考えてみました。基本的には約2年前に書いた糖化産物による免疫機能の異常が原因だと考えています。その後様々な情報が蓄積できましたが、やはり糖化産物によるものと考えて矛盾しない状況です。糖化産物とは糖とタンパク質が不可逆的に結合するものです。熱を介して糖とタンパク質の結合はメイラード反応と言われ、食べ物を焼くと色が変わる反応です。例えばパンに焼き目がつくのも、肉が焼けるのもメイラード反応の一種です。熱の有無に関わらず糖とタンパク質が結合する反応が糖化反応で、糖化産物の生成量は糖の濃度に依存すると考えられます。血糖値が上昇することで糖化産物が多く作られるはずです。多数作られた糖化産物の中で免疫に働きかけ、人体に害をもたらす反応が起きている可能性を考えています。
もしかしたら糖そのものが免疫細胞に働きかけるメカニズムがある可能性は否定できません。いずれにしても糖が原因であり、一時的な血糖値の上昇が引き金・トリガーになっていることは間違いなさそうです。糖化産物が絡んでいるかどうかはいずれ解明されると思いますが、現在ではまだわかりません。

繰り返し血糖値が上昇した結果生じる2型糖尿病も糖質一度に食べ過ぎ症候群に含めても良いのかもしれません。一度に糖質を食べなければ血糖値が上昇しないからです。3食ではなく6食あるいは9食など小分けで食べるのであれば、2型糖尿病すら治る可能性が考えられます。

糖質一度に食べ過ぎ症候群を引き起こす血糖値以外のもう一つの病態を考えています。ここで書く糖化産物はブドウ糖がタンパク質に結合する糖化産物を想定し、ブドウ糖濃度である血糖値が目安になると考えています。しかし砂糖(ショ糖)を多く含むものや果糖を多く含む果物を食べた際に、ニキビなどを生じることが多いようです。砂糖はブドウ糖と果糖の結合したものです。つまり体に入るとブドウ糖と果糖に分解されます。ブドウ糖の血中濃度は血糖値と言われます。血中の果糖の濃度は通常問題にされることはありません。何故なら果糖はブドウ糖の約10倍糖化反応を引き起こしやすく生体への毒性が高いため、肝臓でブドウ糖よりも優先して代謝されます。そのため血糖値のように血液中に絶えず存在する訳ではないためです。果糖の摂り過ぎによる病気が糖質一度に摂り過ぎ症候群の中に隠れている可能性が否定できません。通常の糖質と果糖の摂り過ぎの違いにより病気が異なるかどうかを見極めるためにはもう少し時間がかかりそうです。

糖により免疫機能異常が引き起こされる

糖質一度に食べ過ぎ症候群は免疫機能障害が病気の本態のようです。免疫機能障害には二つ起こります。一つは免疫不全、一つは自己免疫です。免疫不全は本来働くべき免疫が働かないものです。自己免疫とは本来働いてはいけないはずの自己細胞に対する免疫障害です。身体をウイルスや細菌感染、癌細胞から守ってくれる免疫は無数の敵に対応するため、すべての組み合わせを作ってから自分の身体の細胞の分のスイッチだけ切る仕組みが採用されています。自分の身体の細胞の免疫スイッチを切り忘れたのが自己免疫です。
スイッチのオンとオフと考えるとわかりやすいと思います。本来は働かなければならないものが切れている(オフ・免疫不全)ものと、本来働いてはいけないものが働いている(オン・自己免疫)のです。本来働くべきスイッチのオンとオフが入れ替わっているのです。一見関係のなさそうな病気の本質が実は免疫の働き方の表と裏なのです。

自己免疫性疾患

例えばアトピー性皮膚炎では本来切れているべき皮膚細胞に対して自己免疫が働いてしまいます。皮膚細胞が攻撃され傷んでいるので汗が刺激になり悪化します。汗は悪化因子に過ぎません。花粉症では鼻や目の粘膜の細胞に対して自己免疫が働いてしまいます。粘膜細胞が攻撃され傷んでいるため、花粉に対して反応してしまうのです。花粉は悪化因子にすぎません。悪化因子ですから汗や花粉により症状は悪化します。仮に原因だとすると、汗や花粉がある限り治るはずがありません。しかし現実には糖質を控えることで症状は出なくなります。何故なら糖質による自己免疫に過ぎないからです。この病態からすると自己免疫性疾患も俗にいわれるアレルギーも病態は全く同じで、自己免疫のターゲットが外界に接する細胞か否かというだけのことです。外界に接する細胞は刺激を受けているため、悪化因子と反応しますがその悪化因子をアレルゲンとして原因のように錯覚しているに過ぎません。病気の正体は糖質です。

免疫不全

免疫不全の一つはウイルス感染によるイボ(尋常性疣贅)です。無数にある免疫の中でウイルスに対する免疫だけがピンポイントで免疫不全を引き起こした結果イボを発症するようです。糖による本来ピンポイントの免疫不全の数が増えて易感染性として認識されるようになるのが、糖尿病における免疫不全の病態のようです。
ピンポイントの免疫不全が癌細胞に対して起こってしまえば癌を発症するのです。幸い癌は様々な免疫の組み合わせにより阻止するため簡単には発症しませんが、偶然免疫不全がいくつも組み合わさってしまうと発症してしまうようです。逆に考えれば糖質を控えることで免疫不全が重なる可能性が低くなるため、癌を発症しにくくなるはずです。糖質を摂ると発症頻度が上がるのは、糖質を摂り過ぎた結果発症する2型糖尿病の患者さんに癌の頻度が高いことが示唆しています。癌についての仮説は改めて詳しく書きたいと思います。

糖質一度に食べ過ぎ症候群の根底にあるもの

糖質一度に食べ過ぎ症候群は糖質依存の一症状、つまり糖質依存症の一種なのかもしれません。糖質依存のため自己抑制がでず、糖質を一度に食べ過ぎるのです。自分ではコントロールできなくなることが特徴です。病気になるとわかっていてもやめられないのが依存の心理の怖いところです。糖質依存は禁断症状まであるのが特徴です。我満出来ない強い空腹感が禁断症状なのです。強い空腹感を我慢しているとピークを越えるのが禁断症状である証拠です。
出来るだけ糖質を回避するという考え方、糖質回避という考え方がお勧めです。無理に人に勧めるようなものではありませんが、糖質回避を信じてくださった方は健康になっていきます。病院に行かなくてすむようになったため人生が変わった人も何人かおられます。

糖質依存を抜け出し方は糖質を少しずつ減らすのではなく、食べるか食べないかです。糖質を少し食べると余計食べたくなるため、3食の糖質を少しずつ減らすと我慢の度合いが強くなります。3食のうち1食・2食と糖質を食べないようにし、おかずだけ食べるようにするのが糖質依存から抜け出しやすくなります。

投稿者:

呉からの風

呉の医師です。 糖質回避教の推奨者です。 様々な分野で気づいたことを掲載していきます。 怒る必要のない子育てを掲載予定です。