アレルギーなど自己免疫と免疫不全のメカニズム

免疫とは本来自分以外のものを排除する身体に備わった仕組みです。
この仕組みが働かなければ人間は数日と生きてはいられないでしょう。ウイルスによって引き起こされる免疫不全が、HIVによる感染症AIDS(後天性免疫不全症候群)です。ウイルスにより免疫の一部が働かくなるだけで命に関わることがわかっていただけると思います。

免疫の仕組みはすべての組み合わせを前もって作り出し、自分の身体の細胞に対する免疫のスイッチを切る仕組みを取り入れているようです。
本来切れているべき自分の身体に対する免疫のスイッチが間違って入ってしまうと、自己免疫といわれる状態に陥ります。自己免疫のターゲットが外界に接する場合に限りアレルギーと言われています。

自己免疫性疾患

自分の身体を間違って攻撃しないために、自分の細胞に対する免疫のスイッチは切る仕組みが備わっていますがその仕組みがうまく働かないと自分の身体を間違って攻撃してしまいます。自分の身体を攻撃してしまうことを自己免疫と言います。

自己免疫性疾患はターゲットにより無数に存在します。細胞の種類の数だけ自己免疫性疾患が存在することになると思います。正確には細胞だけではなく特定のタンパク質をターゲットにしてしまうと、他の細胞にまたがって反応してしまいます。

目に見える自己免疫反応は、ニキビ痕肥厚性瘢痕・ケロイドなどです。創傷治癒細胞に対する自己免疫反応により、創傷治癒が完了せず治癒過程を繰り返すため傷痕が赤いままであったり盛り上がったりします。場合によっては傷跡の大きさをはるかに上回るケロイドに成長してしまいます。

アレルギーとは?

自己免疫のターゲットが外界に接する場合に限りアレルギーと言われています。

例えば花粉症は目や鼻の粘膜に対する自己免疫反応であり、自己免疫により攻撃された粘膜に花粉が付着することで免疫反応が惹起されることで発症します。そのため花粉が原因ではなく自己免疫が原因です。同様に皮膚がターゲットであればアトピー性皮膚炎を発症します。皮膚を攻撃する自己免疫により傷んだ皮膚表面にダニやホコリ、汗が付着することで免疫反応が惹起されます。皮膚が傷んでいれば傷んでいる程ダニやホコリに対する反応(特異的IgE)が上昇します。アレルギーは外界からの物質(俗にアレルゲンといわれるもの)と自己免疫の足し算による反応です。アレルゲンを取り除くと症状が改善するため原因と誤解されているのです。アレルゲンは原因ではなく悪化因子に過ぎません。

免疫不全とは?

アレルギーを含めた自己免疫性疾患とは、本来働くべきではない免疫が過剰に働いてしまうことですが、免疫不全とはその反対に働くべき免疫が働かなくなるものです。
余り知られてはいませんが、ピンポイントの免疫不全により多くの病気が引き起こされるようです。特に慢性感染症はピンポイントの免疫不全が原因のようです。

ピンポイントの免疫不全とはある特定の免疫だけが不全状態に陥り、病原体を排除できない状態のことです。例えばイボ(尋常性疣贅)はパピローマウイルス感染による慢性感染症ですが、ウイルスに対する免疫不全が起こることで発症するようです。ウイルスによる免疫不全を起こしていると何個もできてしまいますし、一度治っても繰り返し感染してしまいます。逆に言えば一緒に生活する家族でもイボに感染しない場合があるのは、パピローマウイルスに対する免疫が機能している場合には感染しにくいのです。

水イボ(伝染性軟属腫)も尋常性疣贅とは異なるウイルス感染であり、水イボを引き起こすウイルスに対するピンポイントの免疫不全が発症の原因のようです。

免疫機能障害を引き起こす原因

免疫が過剰反応してしまう自己免疫や免疫が働かなくなる免疫不全は免疫機能障害の一種です。本来働くべきではない相手に対して働きすぎる自己免疫か、本来働くべき相手に対して働かない免疫不全は、別物ではなくコインの表と裏のように一連の疾患のようです。

免疫が働きすぎる自己免疫も、特定の免疫が働かなくなる免疫不全もどちらも糖質が関連しているようです。その証拠に、これらの仮説を立てて患者さんに提案し実践してもらったところ現実に何人もの人達が改善しているからです。

アレルギーを含めた自己免疫性疾患が治らないことが半ば常識なのは、犯人だとは思いもせず主食を食べ続けているからです。尋常性疣贅や水イボなどがなかなか治らないのも主食やお菓子・果物を食べ続けているからです。

免疫機能障害を引き起こす原因として見つけたのは、ビタミンと塩分過剰摂取です。
ビタミンはどのビタミンが不足しているか突き止めることが難しいため、マルチビタミンを飲んでもらっています。ビタミン不足により免疫異常がおこっていれば、マルチビタミンを飲んでもらうことで速やかに改善するはずです。塩分も過剰摂取すると自己免疫反応を起こす人が散見されています。塩分による免疫機能障害に関しては最近見つけたばかりなので、今後わかったことがあればご報告します。

免疫機能障害を治す方法

免疫機能障害を治す方法は、食生活を改めることです。糖質を食べないことを理想としますが糖質を食べるのであれば病気を避ける理想の食べ方をお勧めします。

何らかのビタミン不足により免疫機能障害(自己免疫・免疫不全両方)が引き起こされている病態があるようなので、マルチビタミンを飲んで改善するかどうか試してみることをお勧めします。病気によってはミネラル不足の可能性も否定できないため、マルチビタミン+ミネラルを試されることをお勧めします。

免疫機能障害に塩分が関与している可能性が示唆されているため、漬物やみそ汁など塩辛いものを好んで摂っているのであれば控えることをお勧めしています。

 

投稿者:

呉からの風

呉の医師です。 糖質回避教の推奨者です。 様々な分野で気づいたことを掲載していきます。 怒る必要のない子育てを掲載予定です。