利益を出し続けることが難しい理由

多くの企業は利益を目的として経営されています。企業が利益を出し続けることが難しく四苦八苦しています。実は企業が利益を出し続けることが難しいことに理由があるのですが、余り知られていないようなので書いてみます。

利益を企業とお客さんで奪い合う

一言で言えば利益は企業とお客さんの間で相反するからです。企業が高い利益を得るということは、お客さんその分だけ損することに繋がります。品物が高いということは企業が利益を得て、お客さんは利益を失っているということです。逆に品物が安いと企業が利益を捨てて、お客さんが利益を得ているということです。利益をどちらがもらうかという綱引きをしているような状態です。本来ならお客さんの方が有利なのですが、企業はあの手この手で利益を得ようとします。何故お客さんが有利かと言えばお客さんは買わないという選択肢があるからです。企業には売らないという選択肢がないため不利です。その不利な状況を打破するのが宣伝であったり戦略であったりします。

利益を目的とする企業は物の値段を設定する際に、利益が最大化される値段を想定し値付けをします。想定が外れれば売れないため損をし、想定が当たれば高い値段でも売れるため得をします。逆に同じものが安い値段で売られていればお客さんは安い方で買うことになります。
資本主義では値付けを間違うと、お客さんから選んでもらえないことで市場で淘汰されてしまうため、絶妙な値段を付けることが出来る企業だけが利益を上げ続けることができるのです。
一部の経営の天才が絶妙な値段の付け方を心得ているため、利益を出しています。しかし値付けの仕方が遺伝する訳ではない上にその仕組みを言葉で説明することが困難なため、次の世代では値付けに失敗してしまい経営が傾くことがあるのです。カリスマ経営者と言われる人達は、通常人望があるからカリスマ経営者と言われる訳ではありません。売れる商品を開発あるいは見つけ出し、尚且つ絶妙な値付けを行うことが出来るから、結果として莫大な利益を生み出すことでカリスマ経営者と言われるようになるのです。

利益を出し続けることが難しいのは、利益を企業とお客さんの間で奪い合っていることが原因です。企業が利益を最大化しようとすればする程、売れる範囲で最大限高い値付けを行うことになるからです。

利益だけを目的としない企業

その点利益だけを目的としない企業であれば、利益をお客さんと奪い合うことがないため継続的な成長が可能となります。勿論利益を出さなければ企業が存続出来ないため利益の確保は行いますが、利益を目的とせず、企業が存続するための運営費のように捉えているのです(参考:利益は企業の為ならず)。

利益だけを目的としない企業の値付けは、売れるであろう値段を気にしません。仕入れ値に一定の必要経費としての利益だけ上乗せして値付けを行うのです。そのため時として相場よりも破格の安さを実現してしまいます。

例えば100円ショップは利益だけを求めている訳ではない代表でしょう。何故なら利益率が低い商品も並べることで全体で利益を出し続ける仕組みだからです。利益だけを求めていれば、利益率の低い商品は扱わないはずですが、実際には利益が少ない商品も多数扱っています。そもそも100円ショップは本来なら難しい値付けを100円と先に決めて仕入れ価格で調整する仕組みが秀逸です。その仕組みの中で、利益だけを追い求めず、トータルで利益が出る仕組みを作り上げています。

AmazonやGoogleも利益だけを求めていない企業の代表です。Amazonは利益を求めることがたまにあるようにも見えますが、特にGoogleは経営理念からブレることなく利益を運営するための必要経費と捉えているようです(参考文献:Googleの哲学)。

考え方の提案

利益だけを追い求めていると上手く経営出来ないことを経験的に理解した人達の中には、利益を忌み嫌う人もいます。儲けることが悪いことのように捉えているのです。しかし利益を出し続けなければ企業は存続出来ません。個人で考えてもお金を稼がなければ何も出来ません。

利益を企業が存続するための運営費として捉えるのです。運営費を得る目的に事業を行う人はいませんから、過度な利益を得ようとする無理をしなくなります。一定の利益を得ることが出来れば企業は存続出来るので、お客さんに過度な利益は戻してしまうのです。このように考えると上記の利益を企業とお客さんで奪い合うことがなくなります。

この考え方を表すのが私が新しく考えた諺です。

利益は企業の為ならず

企業が存続する目的として、利益をお客さんのために得るという考え方。利益を運営費と考える考え方、もし良かったら取り入れてみて下さい。

投稿者:

呉からの風

呉の医師です。 糖質回避教の推奨者です。 様々な分野で気づいたことを掲載していきます。 怒る必要のない子育てを掲載予定です。