サンクコストの取り扱い方

サンクコストとは一度支払うと戻ってこないお金のことです。サンクとは沈むという意味で、沈んでしまった取り戻すことの出来ないお金のことです。多くの人はサンクコストの取り扱い方により判断を誤ります。

映画館で映画を見ることを思い浮かべてみてください。映画館に入る時点でお金を支払います。これがサンクコストです。どんなに面白くない映画で文句を言ったところでかえしてもらうことは出来ません。映画館に入って面白くない時点で選択肢は、見るか見ないかの二択でしかありません。払ったお金を勿体無いと考えて我慢して見るか、せめて時間は無駄にしないために映画館を出る2つだけです。

払ってしまったお金に引きずられて判断が歪みがちです。映画館を出てしまえば、払ったお金が全くの無駄になるからです。払ったお金を惜しいと考えてしまうので、多くの人が判断を誤ります。取り戻せないお金を判断の根拠にしてはいけないのです。

市場の移転問題で何千億円ものお金が無駄になると問題になっています。何千億円に引きずられて判断を誤りそうです。私利私欲にまみれた輩は、既に使ってしまった何千億円を担保にして、思い通りに事を運ぼうとしています。決してかえることのない既に使ってしまったお金の事は忘れて、使う価値があるかどうかを見極めるべきです。実は原発も同じです。既に原発に使ったお金を無駄にしないために原発を稼働させるのはサンクコストを理解していない人達の考え方です。

払ったお金が勿体無いからといって面白くもない映画を見続けるのは、お金だけでなく時間まで無駄にする愚かな行為です。何千億円という巨額であっても、駄目なら駄目と面白くない映画のように見切りをつける必要があるのかもしれません。巨額であれば巨額である程判断は難しくはなりますが、かえってこないお金に振り回されることなく判断するべきです。

サンクコストに見切りをつけることが出来ないだろうとタカをくくって、計画を無理に進めようとする人がいます。ダムや干潟の灌漑、五輪施設など様々な計画がサンクコストを無駄に出来ないだろうとタカをくくって推し進めているように思います。サンクコストは無視して「0から思考」により、改めて考え直すべきだと思います。

サンクコストに拘るのは過去に拘ることに似ています。過去を変えることは出来ませんから過去に拘るのは無意味です。サンクコストに拘るのも過去に拘るのと同様に無意味です。何故ならサンクコストは今更変えられないからです。変えられないのであれば、変えることの出来ることを考えるようにしましょう。

コストは支払う前に検討するべきことであり、支払ってしまったものをウジウジ考えても『意味』がありません。支払う前であれば支払わないという選択肢がありますが、支払った後であれば取り返すという選択肢はないからです。

サンクコストの取り扱い方は、コストをかけたことを忘れることです。その上で価値があれば利用すれば良いし、価値が無ければ切り捨てる方がお得です。成功する企業はサンクコストを切り捨て、失敗する企業はサンクコストに振り回されています。