アレルギーが治る可能性(仮説)

少なくとも2型糖尿病とダイエットには効果が期待できる糖質回避ですが、もしかしたらアレルギーなど原因が特定されていない様々な病気の原因なのではないかと考えました。その元となったのは尋常性乾癬やアレルギーが治ったと江部先生が報告されていたことです(参考文献:医療の巨大転換(パラダイム・シフト)を加速する―糖質制限食と湿潤療法のインパクト)。尋常性乾癬とは皮膚の角化・成熟するスピードが早まることで炎症が起きていますが、その原因は特定されていません。

原因が不明の病気が糖質制限することで改善するのは、何らかの形で糖質が病気を引き起こしており、その糖質をとらないことで治ったと考えられます。糖質を取ること自体が一因だったと考えるのが自然です。

糖質を取ることが原因となりえるとすればタンパク質の糖化によっておこる糖化産物が何らかの影響を与えると仮説を立てました。
糖化産物が免疫機能を亢進させる何らかのスイッチを押すことで、本来働かないはずのものに対して免疫機能を発揮することでアレルギーを生じている可能性を考えました。この仮説の真偽を証明することは非常に困難です。しかし証明は困難でも患者さん個人で糖質回避で病気が治るかどうかを試してみていただくことは簡単だと思います。

これまで血糖値が高いままだと糖尿病という病気になることはわかっていますが、糖質を食べることによる血糖値の日内変動での病気の報告は特にありません。特にありませんが、血糖値の濃度に応じて糖化産物が生成されているのは間違いない事実です。その糖化産物が何も問題ないのか、もしかしたら大問題を起こすのかは現時点ではわかりません。もし糖化産物が免疫機能に影響を与えアレルギーや様々な疾患を引き起こすと考えると、辻褄があう部分があると思います。
糖質に対するアレルギー反応を起こすことはまれにありますが、糖質を食べることが糖化産物を介してアレルギーを引き起こす引き金・原因の可能性を考えました。

この仮説の真偽の証明はかなり困難ですが、簡単な確認方法は患者さんに糖質回避をしてもらい、治るかどうか試してみてもらうことです。もしこの仮説が正しければ2型糖尿病、ダイエットの方だけでなくアレルギーの方も糖質回避を試してみる価値は十分あると思います。
ご興味があれば糖質回避教のすすめをご覧ください。

糖化産物が免疫機能に対して影響を与えるのであれば、仮説の域を出ませんが免疫機能を亢進させればアレルギーになり、免疫機能を抑制すれば慢性感染症(ニキビ、慢性副鼻腔炎、扁桃炎、尋常性疣贅など)や悪性腫瘍を許してしまうのではないかと思います。