はじめに ~常識革命の起こし方

人は常識を利用して快適に生活しています。別の言い方をすると常識にとらわれて生活しています。
その常識がもしも間違っていたらどうしたらよいのでしょうか?
常識そのものが間違っているという指摘は、多くの人はあり得ないとして考えることなく拒絶してしまいます。
そもそも常識が間違っているかもしれないことを想定していないのです。常識が間違っていること自体があり得ないことなので、考えるだけ無駄だから拒絶するのです。
実は常識だと思われていたことが後になったら間違いだったと判明することは多々あります。間違った常識である先入観にとらわれているために起こることです。
先入観とは評価や判断を誤らせる間違った『知識』・『常識』のことです。
人は新しい物事を知った際、受け入れることができるかどうか疑うことはあっても、一度正しいと信じて取り入れてしまうと疑うことができません。当たり前の『常識』として認識し、その後検証することをしません。その『常識』を身につけた時期が早ければ早いほど、明確な根拠はなくても正しいと信じてしまうのです。
『常識』と異なる知見を聞いても『常識』が先入観としての強い壁を作り、受け入れることを拒むのです。
我々は『常識』を元に思考するように頭が設計されています。現実には『常識』を元に思考するように進化したと考えられます。思考の基本となる『常識』は当たり前で当然なことなので、『常識』を疑うような無駄なことをしないのです。
普通の人はなかなかイノベーションは起こせません。何故なら人は常識の中しか探さないように頭を節約して使うのです。既に持っている当たり前の知識である常識の枠の中から、答えを探すように頭の使い方に慣れています。イノベー ションは常識にとらわれず、常識の枠の外に答えを見つけた際に、稀に起こる現象のことだからです。そもそも頭の使い方が『常識』の枠の中しか探さないように制限されているのですから、常人にはイノベーションは理論上無理なのです。極希に常識の枠にとらわれない考え方・発想が出来る人がいるため、周囲に驚かれるのです。『常識』の枠にとらわれず、やりたいことやできると楽しいことを子供の心で実現しようとすることが、イノベーターに求められることだと思います。『常識』の枠にとらわれないのはかなり難しいことです。何故なら私たちの頭の使い方が、『常識』の枠の中から飛び出さないように使い慣れているからです。『常識』を土台に思考したり、新しい物事を受け入れたり、拒絶したりするように設計されているからです。
実際には『常識』の枠の中で生活できる人が子孫を残すことで進化を重ねたのだと思います。『常識』の枠の中に入れない人は、『常識』の枠の中にいる人から理解できず人付き合いが苦手で子孫を残すことができない可能性が高いからです。
実は『常識』をまだ持っていない子供の発想を実現すれば、比較的容易に『常識』の枠の外を探すことができます。
人は天才で生まれ、『常識』の枠にはまった平凡な大人に成長するのです。
この本は古い『常識』である先入観を取り去る方法を提案したいと思います。