ステロイドが恐れられる理由

患者さんの中にはステロイドに対して恐れを抱いておられるかたがおられます。中にはステロイド恐怖症とその対策に書いたようなステロイドに対して極端な恐怖心を抱いておられる方もおられます。極端に恐れる方は一種の心身症のようなものだと思います。
ステロイド恐怖症と言うほどではないとしても、何となく怖いという不安感を抱いておられる方もおられます。その理由を考えてみたいと思います。

多くの方はステロイドのことを良く知らないから怖いと感じてしまうのだと思います。

ステロイドを怖いものだと印象付けたのは、ある報道番組です。ステロイド外用剤とステロイドの内服や注射の副作用をゴッチャにして不安を煽ったのです。更に自分達の品物を売りたい人達が、ステロイドを悪者にして不安を煽り、自分達の商品を売り込んだのです。外用剤と内服や注射という違いはあるものの、ステロイドの副作用であることは間違いないため一般の方には区別がつかず混乱してしまったのです。

ステロイドが恐れられる根拠

ステロイドが恐れられるのは副作用です。ステロイド剤は確かに副作用があります。具体的には肺炎などの感染症にかかりやすくなります。他にも血糖値を押し上げることから糖尿病になりやすく、場合によっては大腿骨頭壊死など重篤な副作用を生じることがあります。ただし副作用を起こす量が問題です。少量であれば副作用が起こる可能性はほとんどありません。副作用が起こる確率が低いにも関わらず、ステロイドの不安をあおって自分達の商品を売ろうと考えた人達がいたのです。不安をあおる際にステロイドの点滴や内服を大量に使用した際の副作用を大袈裟に広めたのです。

ステロイドは身体に不可欠なホルモン

実際にはステロイドが人間の身体の副腎(尿を作る腎臓の近くにある器官です)で作られていることを多くの方が知りません。そしてステロイドが不足すると死に至ることがあることも知らない人が多いと思います。つまり人間の身体においてステロイドは不可欠なホルモンなのです。実際に脱ステロイド療法という一種の宗教のような根拠に乏しい治療を行い、ステロイド不足による急性副腎不全で死にかけることもある程です。一定期間ステロイドを使用している人が突然ステロイドを中止するだけであれば、リバウンドと呼ばれる状態に陥るだけで済みます。偶然感染症を併発してしまうとステロイド不足に陥り、急性副腎不全に陥るのです。感染症にかからなければ脱ステロイド療法も上手くことがありますが、感染症を併発してしまうと悲惨な状態に陥ります。

多くの人は命懸けで脱ステロイドをしている自覚に乏しく、下手をすると脱ステロイド療法をしている医者も命懸けという自覚のないまま脱ステロイドをしているかもしれません。何故なら脱ステロイドで死にかけているので、別の病院多くは救急病院を受診するからです。脱ステロイド療法の後始末が救急病院で行われていることは、余り知られてはいません。もしかしたら脱ステロイド療法をしている医者も知らないのかもしれません。

ステロイドは使い方次第

ステロイドは元々身体にある副腎で作られるホルモンです。確かに使い方次第では必ず副作用を生じますが、過度に恐れる必要はないと思います。何故なら長年使われた経験により副作用になりにくい使い方があるからです。

副作用を恐れるなら正確な情報を知った上で恐れるようにしましょう。ステロイドを使う場合、どの様な副作用が起こり得るのかを聞いてみましょう。噂を信じて起こりもしない副作用をただ闇雲に恐れるのは勿体無いと思います。何故なら噂を流した人達は自分達の品物を売り込みたい私利私欲で広めているだけだからです。

例えばステロイド外用剤で起こる副作用は短期間では、毛嚢炎(ニキビのようなもの)くらいです。長期間では皮膚が薄くなったり多毛や血管拡張などがあります。短期間のステロイド外用剤を恐れるのは、知らないうちにニキビを恐れているようなものです。正確な情報を集めてから恐れましょう。

投稿者:

呉からの風

呉の医師です。 糖質回避教の推奨者です。 様々な分野で気づいたことを掲載していきます。 怒る必要のない子育てを掲載予定です。