感情で人を動かすということ

感情で人を動かす人がいます。
私の尊敬する心理学者アドラーは感情で人を動かすことは子供のように幼稚だと切り捨てています。(参考文献:アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉
私は感情で人を動かすのは動物的だと思います。

感情とは泣いたり怒ったりして人を動かすということです。(中には笑顔で人を動かすことの出来る人もいるかもしれません)
泣くことで人を動かそうとするのと、怒ることで人を動かそうとするのは本質的には同じことです。ただ相手が自分より強ければそのままでは太刀打ちできないので泣くのです。相手が自分より弱ければ逆らえないことを見越して怒るのです。もしくは力関係を見せつけ従わせるために怒るのです。

泣くことで人を動かそうとする場合

泣いて人を動かすのは赤ちゃんの特権です。子供でも泣いて親や周囲の人達を動かすのは、赤ちゃんの頃からの育ち方として泣くことで自分の欲求を満たすことを何度も成功しているのです。希に大人でも泣くことで人を動かそうとする人がいます。人のいないところで泣いているのは本当の涙かもしれませんが、人前で泣くのはある効果を狙って目的を持って泣いているのです。(本人が自覚しているか自覚していないか。つまり意識的にか無意識かは別問題です)
貴方のせいで泣いていのよ。酷い人と暗に責めるために泣くのです。周囲には、この人に泣かされていますよ、同情して下さいという目的で泣いているのです。
泣かれることで動揺してしまうと相手の思う壺です。泣くことになれているので怯んだのを感じ取ると更に大げさに泣くようになります。泣いても思い通りにならないと察すると更に大声で泣き叫びます。これは子供でも大人でも同じです。

対策は簡単です。
悲しいことはわかった。でも泣いても事態は変わりませんし、判断は変わりません。
泣くだけ無駄だから泣き止みましょうと伝えます。
それでも大声で泣くのであれば、過去の成功体験にない思い通りにならない経験なので混乱しているのですがどうして良いかわからないのです。
泣き止んだら教えてと伝えて、その場を立ち去れば良いのです。
そうすることで泣いても動揺しないと伝えることができます。

怒ることで人を動かそうとする場合

怒ることで人を動かそうとするのも泣くことで人を動かそうとするのとよく似ています。
ただ相手が自分より弱い人間だから怒ってしまうだけのことです。
怒ることで人を動かそうとするのは動物の対処法と同じです。
自分の嫌なことをされそうだと吠える。その行動と何ら変わりありません。
動物は言葉を持ち合わせていないので仕方がありませんが、人間には言葉というコミュニケーションツールが用意されているのです。
怒る原因は、本来なら知っているべきことを知らないので責めるつもりで怒るのかもしれませんが、前もって教えていない自分の責任だということに気づけば怒ることに意味がないことに気づくことができます。特に親が子供を怒るのは、教えていないのは誰の責任かを考えることで容易に理解できます。
前に言ったのに出来ていないから怒るということを言われる方もおられますが、例え言ったつもりでもその意味や目的が伝わっていないのです。言ったつもりだが言われた覚えがないという齟齬になっているのです。つまり伝え方に問題があるのです。
確かにきちんと伝えても相手の理解力の問題やモラルの問題でこちらの意図した行動できないこともあり得ます。そのような場合には相手にとって何らかのデメリットを用意し、こちらの意図した行動を促すのです。

怒ろうと思った際に、冷静に相手に何か根本的なことが抜け落ちていないかを考えるのです。
その抜け落ちていることに気づくことができれば、怒っても意味がないことがわかります。
怒らずに相手にわかるように教えてあげれば良いのです。
ただそれだけのことです。

投稿者:

呉からの風

呉の医師です。 糖質回避教の推奨者です。 様々な分野で気づいたことを掲載していきます。 怒る必要のない子育てを掲載予定です。