企業が新卒学生を採用する際、学歴フィルターを使用しています。その理由を考えてみます。
一言で言えば、学生を選別する適切なフィルターが他に見つからないためだから気をフィルターがわりに使っているのです。本来であれば仕事に必要な能力を見極め、仕事に必要な能力でフィルタをかけるべきなのです。実は企業側がその仕事に必要な能力の見分け方を把握できていないため仕方なく学歴をフィルターがありにしているに過ぎないのです。仕事に役立つ適切な指標がないため、記憶力と理解力を示す学歴だけでも優秀な学生を選ぶのです。学歴は優秀でも仕事で役立たないことがあるのは、学歴と仕事に求められている能力が異なるからです。
学歴の意味するもの
学歴は単に教科書を覚える記憶力とその内容を使って作られたパズルを解く能力を試された結果に過ぎません。しかも学歴の多くは入学時の能力を表すだけであって、卒業時の能力ではありません。
学歴と仕事のズレ
学歴は教科書を使った記憶力と答えの用意されたパズルを解く能力を競っているに過ぎません。通常仕事とは自分で問題を見つけつの問題を解決する能力が問われるのです。つまり問題を用意されるのか自分で見つけるかの違いがあるのです。しかも試験と異なるのは答えが存在するかどうかわからないことに挑む必要があるのです。正解があるとは限らず、与えられた制約の中での最適解を求めることになるのです。
仕事では問題に気づく能力が試されるのですが、問題に気づく能力自体が欠落していると仕事にはなりません。つまり問題を用意してもらわなければ、仕事を始めることが出来ないのです。
問題に気付くことが出来たとしても学歴が高い人に限って、必ず正解があると思い込んでしまい、答えが見つからないと混乱してしまうのです。
学歴フィルターを使う理由
仕事に求められる能力は問題を解く能力の前に、問題を見つけるあるいは作る能力です。そして与えられた制約の中での最適解を見つける能力です。残念ながら今の所、学歴のように客観的にそれらの能力を表す指標がありません。そのためせめて記憶力と理解力を表す学歴フィルターにより学生を選別しているのです。
少なくとも優秀な学歴を得た学生は、勉強に対して継続して努力したことを表します。そのため仕事の上でもある程度耐性を期待出来ると考えるのでしょう。
更にインターネットが学歴フィルターを助長しました。何故ならインターネットでの出願は簡単だからです。手書きとは異なり、いくつものエントリーが容易だから、学生は莫大な数の出願を行うのです。そのため莫大な数の出願を仕分けするために、止むを得ず学歴フィルターを使っているに過ぎません。企業も学歴フィルターが最適と考えている訳ではなくても、学歴の高い人材は低い人材よりは役立つ可能性が高いと考えているのでしょう。
もう一つの理由は無料で入社試験をしているからです。入試のように受験料を徴収すれば良いのです。実は入社試験の受験料を徴収し寄付すると宣言した企業がありましたが、世間の批判に耐えきれず断念しました。営利目的ではなく、本気の入社希望者を振り分けるためにお金を使うのは適切だと私は思います。つまり無料でしているから学歴フィルターを使わざるをえなくなっているに過ぎないのです。学歴にとらわれず優秀な人材を集めたい企業が、入社試験の受験料を適切に徴収するようになることが合理的だと私は思います。私立大学の入試のように営利目的にしても構わないと私は思います。企業の営利活動を部外者が批判するのは的はずれです。
学歴フィルターの今後
学歴の表すものと、仕事で求められる能力とがズレていることに企業が気付いていないはずがありません。とりあえず学歴でフィルターにかけた後で、仕事に役立つ能力を身につけているかどうかを面接などで見極めているのです。これからの時代記憶力は大した意味は無くなります。何故ならタブレットやスマホなど記憶媒体が進化しているため、頭の中に細かく記憶する必要が無くなったからです。
今の所仕事をする上で必要とされる能力を見極める指標を各企業がノウハウとして蓄積していますが、もし普遍化することが出来れば学歴は全く意味をなさなくなります。私は近い将来仕事が出来る能力を見極めることの出来る指標を考え出す知恵者現れると思います。
日頃から問題を見つける能力と、最適解を見つける能力を養うことをお勧めします。