上手な話し方とは手短に物事を相手に伝えることです。
当サイトでは様々な伝え方を提案していますが、今回は様々な意味を確定させて話すということを提案したいと思います。
内容は『上手な説明の仕方 曖昧な言葉を明確にする』と同じことです。
言葉には様々な意味が含まれています。前後に話された内容から瞬時に類推して様々な意味を確定させながら聞いているのです。二つの意味があって即座に理解できないことでも、話を聞いているうちに後でどちらの意味だったかわかることがあります。
逆に意味が確定しない曖昧なまま聞いていると、話の内容を理解する余裕がなくなることもよくあります。
会話の中にどちらでも受け取ることの出来る言葉が潜んでいると、理解するまでに無駄な時間を要します。その時間を省くことで手短かに情報を伝えることができるのです。
例えば『御飯』という言葉一つをとっても、『食事』という意味もあれば『お米』という意味もあります。
『御飯が原因です』と伝えた場合、『食事が原因です』という意味と、『お米が原因です』という意味の二つが考えられます。その二つの意味を持つのが『御飯』という言葉です。しかも人によって『御飯』という言葉で、『食事』という意味しか思いつかない人もいますし、『お米』という意味しか思いつかない人もいるのです。『御飯』という言葉を話し手が『食事』の意味で使っているのに、聞き手が『お米』という意味で聞いているとズレ漫才のように認識がずれてしまいます。会話が成立しなくなってしまいます。ズレ漫才は視聴者として客観的に見ることが出来るため容易に理解できますが、通常の会話は当事者なので主観的になってしまうためにズレていることを客観視できないのです。
この場合『御飯』という言葉を使うことには認識の齟齬を起こしてしまう隙が生まれます。『食事』と受け取るか『お米』として理解するか、受け取る人に任せてしまうという意味でギャンブルになってしまいます。私は認識を修正する時間が勿体無いので、最初から『食事』・『お米』と言い分けます。相手の解釈に任せないので、言葉が明確に伝わります。認識のズレを修正する時間の無駄が省けるので、短時間で情報を伝えることができます。
別の例え話では『お酒』があります。『お酒』には『日本酒』という意味と『アルコール』という大きく2つの意味があります。かつては『アルコール』といえば『日本酒』に決まっていたので、『お酒』といえば『アルコール』のことであり『日本酒』のことでもあったのです。その名残で『アルコール』の意味で『お酒』という場合があります。「お酒を飲んではいけませんよ」という場合には、『アルコール』全てを飲んではいけないという意味と、『日本酒』を飲んではいけないけどビールは大丈夫という2つの意味を含み曖昧になるのです。人は曖昧な表現は自分に都合良く解釈する傾向があります。伝える側にとってはどちらで伝わるか不確かなため、確認する必要が出てきます。確認という無駄を省くために、2つの意味をもつ曖昧な言葉は2つの意味を明確に区別して伝える方がお得です。2つの意味をもつ『お酒』という曖昧な言葉ではなく『アルコール』・『日本酒』と使い分けると情報が素早く伝わり、確認する必要がなくなるためお得です。
会話の認識のズレを失くし、情報を速やかに伝えるために多義語の意味を確定させながら会話することをお勧めします。