医者同士では半ば常識ですが、世間一般では余り知られていないのが経営のために治療したい医者がいるということです。保険診療では平均の入院期間が長いと入院単価が下がり、平均入院期間が短いと入院単価が上がる仕組みになっています。そのため患者さんの希望に関わらずとにかく早く退院するようにしています。患者さんのために退院を促す訳ではなく、経営のために退院してもらいたいのです。確かに入院していると患者さんは楽なので、その状態に依存させないために早く退院を促す側面はあるとは思いますが、退院を迫る大半は口にはしないものの患者さんのためではなく経営が理由でしょう。逆に医学的には外来で可能な治療を念のためとして、わざわざ一泊入院にするのは経営のための治療の最たるものでしょう。開業医は治療が経営に直結しているので理解しやすいのですが、勤務医も経営のための治療をすることがあります。その目的は売り上げを上げることです。何故なら勤務先の病院から売り上げを求められるのです。国公立の病院でさえ医者に売り上げを上げることが求められているのです。
命に関わる悪性疾患で医者が治療を勧めるのは当然ですが、悪性疾患ではないにも関わらず治療を勧める医者には注意が必要です。治療の目的が患者さんの健康のためではなく、経営のためであるかもしれないのです。実際知人から相談されたことがあります。良性疾患にも関わらず医者から手術するように強く迫られたものの、手術をしたくないと考えていると。事情を聞くと確かに良性疾患でも最悪の事態に陥り感染症を引き起こすと命に関わる可能性はある状態でした。しかし緊急性は全くありません。現在感染もありません。にも関わらず二週間後に手術をします。同意してくださいという説明だったそうです。大袈裟に言えば感染する可能性があり、場合によっては死ぬこともありますから今は症状はないけど盲腸の手術を予防的にしましょうということに近い発想です(盲腸の手術とは正確には虫垂切除のことです)。確率の問題で、相談を受けた知人の場合、正確には予防的虫垂切除よりは感染症に至る可能性が高いとは思いましたが、必ずしも手術が必要とは思えません。少なくとも2週間後に手術を急いでするべき理由は患者さん側にはなかったはずです。では何故か?医者が手術したいのです。その目的は医者は手術がしたいのでしょう。病院は治療費を得たいのでしょう。医者と病院の経営者の利害は一致しているので誰も異を唱える人はいないのでしょう。そんな理由で手術を勧められている患者さんはたまったものではありません。結局その知人は手術を断り1年が経ちますが元気です。
治療費が直接自分の収入に結びつかない勤務医ですら上記の状態です。ましてや治療費が自分の収入に直結する開業医では、更に露骨な経営のための治療を行うことになります。通院の継続を強要したり、患者さんのためではなく経営のために不必要な薬の継続を強要したりします。患者さんのために薬を出していると言い訳をするために、製薬メーカーがスポンサーで仕上げた論文を根拠にして処方していることもあるようです。経営のために治療しているかどうかの一つの見分け方は、患者さんを怒るかどうかです。怒る目的は医者が自分の思い通りにならないと儲からないからです。患者さんのためを思って怒るというのは、論理のすり替えに過ぎません。頼んでもいないのに患者さんのことを考えていると言い訳して、病気で困って受診している患者さんを怒るのは儲けの為だと考えると理解しやすいと思います。
別の開業医に一般的には治らないことが常識の病気を治していると伝えると、真顔で「儲からないから困るじゃない?」と言われました?正直この人は何のために医者をしているんだろうと考えました。
2型糖尿病ですら治る時代です。アトピー性皮膚炎やニキビや花粉症は当たり前に治ります。しばらく病院に通っても病気が治らない場合、医者が治せないのではなく経営のために治さないのかもしれません。治らなくて困っていれば別の医者を受診してみることをお勧めします。経営のために治療をしたい医者ではなく、病気を治したい医者を探しましょう。