世の中には人に質問をしながら思い通りの答えが出るまで納得しない人がいます。その心理を考えてみたいと思います。
一言でいえば、自分で結論があるのにわざわざ人に質問するのです。自分が正しいことを相手に言わせ、確認するような心理のようです。
自分の思い通りの答えが返ってこないと不機嫌になったり、どれだけ説明されても受け入れません。
話が長い人あるいははっきりと物を言わない人にこのタイプがいるようです。
困ったことに本人は自分では自分の頭の整理がついていないため人に聞くのですが、実は結論は出ているのです。自分の頭の整理がついていないため色々なことを口にします。口にしたことに対してかえってきた答えの中から自分の考えに近いものを選び出していきます。最終的に自分の思い通りの答えにたどり着いて納得するのです。
つまり思い通りの答えが出るまで納得しない人とは、自分で自分が何を考えているのかわかっていない人なのです。人から話の内容を整理してもらわないと、自分がどうしたいのか言えないのです。
実は患者さんにも見受けられます。
病気の診断を付けても納得されず、その人の思い込みが正しいはずだと様々なことを言い始められます。検査結果のように客観的なものに対してはさすがに言われることはありませんが、客観的な指標がないまま診断をしたことを伝えても納得されない方がおられます。特に病気の原因が糖質であることを伝えると、人によっては納得できないことに怒り始める人までおられます。怒ったりはしなくても、納得できないとしきりと訴えられる方もおられます。根拠を聞くとインターネットで見たからだそうです。宗教のようなもので最終的にはどちらを信じるかですねとお伝えしています。ただ誰が書いているかわからない、間違っていても責任を問われないインターネットと、責任をもって診療している私とのどちらを信じるかです。
思い通りの答えが出るまで納得はしないのであれば、普通の人であれば最初から自分の思っている答えかどうか聞くのですが、このタイプの人ははっきりとは聞きはしません。答えが正しいと思い込んでいるからわざわざ聞かないのかもしれませんが、自分の答えが正しいことを確認しようとする心理が潜んでいるので、はっきりとは聞きません。答えが同じなら速やかにことが進みますが、思い通りの答えが出なければどれだけ話をしても平行線をたどります。
対策としては、目的を聞くことです(目的論)。
思い通りの答えが出ないと納得しない人に対しては、目的を聞きその対策を相談することです。相手の思い通りの答えを手探りで探すと非常に時間がかかる上に、こちらの思惑とは異なる結論を求めているのかもしれません。今後どうしたいのかを聞くことで時間を短縮することができます。目的に対して対策を相談するのです。理由を聞いていても話をしている途中で思いついた理由にすり替わってしまうこともよくあるのでお互い時間の無駄になるからです。
思い通りの答えが出るまで納得しない人のもう一つの特徴は、自分の口からははっきりと言わないことです。自分自身がどうしたいのか自分の頭の整理がついていないだけなのか、相手から言わせたい狡い心理が働いているのかは人によって違いますが、物事をはっきりということをしません。
思い通りの答えが出るまで納得しない人がいることを意識することがまず大切だと私は思います。何故なら意識しなければ理解できないからです。人と話をしながらも前もって決めている答えを無意識のうちに引き出そうとしていることを意識することです。その答えが自分の考えと異なっていれば、1時間話をしても答えにはたどり着かないからです。
実際には思い通りの答えが出るまで納得しない人の心理といっても、思い通りの答えが正しいとすでに思い込んでいるだけのことです。そのため何を言われても聞く耳を持ちません。対策は話の目的を絞り込み、話を切り上げることです。