今回私が提案するのは『禁煙』ならぬ『禁塩』の勧めです。世間一般でよく言われるのは『減塩』ですが、書き間違いではなく塩をやめる『禁塩』の提案です。
世間一般では塩によって引き起こされる病気は高血圧くらいですが、他にも多くの病気を引き起こすことがわかってきました。塩による病気を避けるためにわかりやすい塩の対策を考えてみることにしました。考え出したのが『禁塩』です。
『禁煙』はタバコを文字通りやめることですが、『禁塩』は塩を完全にやめることを提案したいのではありません。嗜好品であるタバコと違って日常摂る食事の味付けにも使われる塩を全く摂らないことは限りなく不可能に近いからです。塩は調味料だけでなく、そもそも食材としての肉に0.1%程含まれているため、文字通りの『禁塩』を実践するのであれば、肉を一切やめて野菜を摂るしかありません。しかも塩の味付けなしで野菜ばかり食べる生活を送る必要があるからです。そのため文字通りの『禁塩』生活を実践することは現実的ではありません。
私の提案する『禁塩』とは以下の通りです。
『禁塩』とは?
私の提案する『禁塩』とは味噌汁やスープ類などの汁物や漬物・タラコや明太子、塩ジャケなどの塩を楽しむ料理を禁ずることです。つまり私の提案する『禁塩』は塩を禁ずるのではなく、塩を楽しむ料理を禁ずることです。
私の提案する『禁塩』を実践するだけで塩の摂取量を比較的簡単に減らすことが出来ます。何故なら塩を嗜好品のように楽しむ料理を避けることが出来るため、単純に塩の量を減らすことが出来るからです。逆に言えば、日本人が塩分を摂り過ぎているのは塩を楽しむ料理を日常的に楽しんでしまうからです。
言葉の上では塩を楽しむ料理を禁じる『禁塩』ですが、実際には自分の意志で塩を避けるので『塩分回避』が適切な言葉だと思います。『きんえん』は一般的に『禁煙』で広まっているため、塩を禁じる『禁塩』という言葉のインパクトが大きいと思い提案してみることにしました。
『減塩』ではなく、『禁塩』として塩を楽しむ料理について立ち止まって考えて欲しいのです。
減塩がうまく出来ない理由
一部の先生達が躍起になって減塩を推進していますが、なかなかうまくいきません。何故なら『塩中毒』あるいは『塩依存』の人達がいるからなのです。依存状態の人が少量だけで我慢出来ることはありません。そもそも少量で我慢出来れば依存状態ではありませんし、塩の摂り過ぎで悩むことはありません。むしろ少量で我慢出来ないことが診断基準でもあります。高血圧などの病気になるとわかっていてもやめられないという項目も診断基準の一つの項目です。(依存症の診断基準はこちらに掲載しています)
(参考:減塩が難しい理由、減塩に失敗する理由)
『禁煙』や『禁酒』はあっても、『減煙』や『減酒』がないのも依存状態の人が自分で摂取量をコントロール出来ないことに由来します。少し摂ると余計摂りたくなってしまうのです。
炭水化物を少量摂ると余計お腹が空くのも同じ理屈です。少し食べると余計お腹が空くような錯覚に陥るのは、糖質依存が引き起こす錯覚に過ぎません。しかしその錯覚に逆らえなくて食べ過ぎてしまうのです。
塩を少し摂ると余計摂りたくなってしまいます。そのため減塩味噌や減塩の醤油、減塩の塩鮭などは無意味です。塩を摂るための誘い水にしかなりません。減塩の味噌汁にしても塩を取り始めると誘惑に負けて結局醤油をかけてしまったり、塩をかけてしまったり、せっかくの減塩の味噌汁にも関わらずおかわりしてしまったりしてしまいます。結果として減塩が成功しないのです。
依存対象を少量摂ると余計欲しくなってしまうことに由来しています。
塩分依存の対策
一番の対策は最初の少量を摂らないことです。だからタバコに対しては『禁煙』であり、お酒に対しては『禁酒』なのです。その延長線上に塩に対する『禁塩』の考え方を理解してもらうのです。
塩がやっかいなのは何にでも入っていることです。そして美味しいことです。少し取り始めると余計摂りたくなるため、そもそもの塩を摂らない。少なくとも塩を楽しむ料理、具体的には味噌汁やスープ類、漬け物、明太子・タラコ、塩鮭などは避けましょう。それが結果として一番の『減塩』に繋がります。