アトピー性皮膚炎とは乳児では2カ月以上、その他では6カ月以上慢性湿疹を繰り返す病気です。
アレルギーの一種とされ、これまでは治らないことが半ば常識とされていました。
治療法はステロイド剤の外用、抗アレルギー剤の内服が一般的です。残念ながら対症療法でしかないため、これらの治療では根治・治癒はしません。塗り続けなければいけませんし、飲み続けなければいけません。一時的な改善が期待できるだけです(参考:アトピー性皮膚炎に対するステロイド剤の役割)。
ステロイド剤で治療すると確かに赤みはひきますが、しばらくすると再び赤みが出てきます。あたかも赤みがわき上がってくるくるような印象です。何度薬を塗っても繰り返すので治らないと考えられていました。様々な治療薬が模索されていますが、症状を出ない状態に導く根治するような薬は今のところありません。
抗アレルギー剤は痒みを止めてくれます。内服することで痒みを抑えることが出来ます。痒みもわき上がってくるような印象で、飲み薬が切れると痒くなることがあります。薬を飲まないと痒みを繰り返してしまいます。(参考:アトピー性皮膚炎が治らない理由)
アトピー性皮膚炎の原因
一言で表せば糖質の取り過ぎです。人によって許容量は異なるようですが、アトピー性皮膚炎を発症している時点で許容量をこえて糖質の摂り過ぎた結果のようです。許容量を毎日こえていれば症状は酷くなりますし、許容量を時々こえるのであれば時折赤くなる程度です。
現在アレルギーと考えられている疾患は、各組織に対する自己免疫疾患ではないかという仮説を立てています。皮膚に対する自己免疫疾患がアトピー性皮膚炎で、粘膜に対する自己免疫を生じると花粉症を発症し、気管支に対する自己免疫だと気管支喘息を発症するようです。そして自己免疫性疾患の元となる免疫異常は糖質の取り過ぎが引き起こしているようです。
アトピー性皮膚炎や花粉症などで糖質回避により治癒する人がおられます。糖質回避により改善するアレルギーを自己免疫性疾患の一種ととらえ、他の自己免疫性疾患にも有効だとの仮説を立てて患者さんに実践してもらったところ、2つの自己免疫性疾患で治癒しました。アレルギーが自己免疫性疾患の一種である事を示唆する証拠です。
参考:血糖値と糖化産物とアトピー性皮膚炎(仮説)
現実に糖質を控えることで治癒する方が何人もおられるので、アトピー性皮膚炎の原因が糖質の取り過ぎであることは間違いないと思います。
アトピー性皮膚炎の悪化因子
一部の人達はダニ・ホコリ・汗が原因だと考えておられるようですが、残念ながらその考え方は間違っています。何故ならダニ・ホコリ・汗を取り除かなくても、糖質を控えるだけで改善するからです。
逆にダニ・ホコリ・汗が原因と仮定すれば、いくら糖質を控えたところで原因であるダニ・ホコリ・汗を取り除かない限り改善しないはずです。ダニ・ホコリ・汗にさらされなければ悪化しないはずですが、現実には糖質をとりすぎると数時間で痒みを生じ、翌日には赤みが出てきます。このことからダニ・ホコリ・汗が原因ではないことの状況証拠だとわかります。
かといってダニ・ホコリ・汗がアトピー性皮膚炎に無関係な訳ではありません。悪化因子として作用するようです。皮膚に対する自己免疫により炎症を起こした状態で、ダニやホコリや汗が付着することで感作され、再びダニやホコリや汗に曝露されると症状が悪化してしまうのです。皮膚炎の状態が悪ければ悪い程、血液検査でアレルギーの度合いを示すダニやホコリのIgEの値が高くなります。この数値が高いことをアレルギーが酷いと誤解する人もいますが、皮膚炎が悪化しダニ・ホコリに触れて免疫反応が起こった結果を見ているに過ぎません。皮膚の状態に比例してダニやホコリのIgEの数値が高くなるだけですから、その検査をわざわざする意味は乏しいと思います。
実際には糖質とダニ・ホコリ・汗の組み合わせで悪化するようです。夏症状が悪くなる人は汗が悪化因子であり、冬症状が悪くなる人はダニ・ホコリが悪化因子のようです。悪化因子が季節により増減するので、糖質を食べる量が同じでも季節によってアトピー性皮膚炎が悪化するようです。逆に考えると、アトピー性皮膚炎の発症に関する糖質の許容量は季節によって変動するようです。
アトピー性皮膚炎の治し方
アトピー性皮膚炎の治し方は一言で書けば、アトピー性皮膚炎の症状が出なくなるまで糖質を減らすことです。糖尿病や腎疾患、肝疾患などでタンパク質制限をする必要がなければ、糖質をゼロにしてしまえばほとんどの方が治ってしまうと思います。いきなりゼロにしなくても半分にしてみるなどを試してみると良いと思います。糖質・炭水化物をやめることなど出来ないという方は、もしかしたら糖質依存に陥っているのかもしれません。糖質依存の観点から1食ずつ食べないように工夫されるのがお勧めです。
後は糖質の振り返り法を実践することで微調整が可能です。
アトピー性皮膚炎の症状は糖質を食べ過ぎ皮膚に炎症が起きた結果ですから、糖質を控えても既に出た症状自体は改善しません。食べ過ぎた結果出た赤みを抑えるのはステロイド剤が得意で、痒みを抑えるのは抗アレルギー剤が得意です。これらを使いながら、新たな症状を発症しないようにするとアトピー性皮膚炎は治ります。
アトピー性皮膚炎の発症には一定量以上の糖質を食べることが関与しているようです。言い換えるとアトピー性皮膚炎でも食べても大丈夫な許容量が人によってそれぞれあるようです。許容量以内であれば食べても大丈夫なので、自分の許容量を見極めることが大切です。許容量さえ見極めてしまえば、症状が出ることを予想することも出来るようになります。
これだけ食べてしまったら痒くなる、これだけ食べてしまったら翌日赤くなるというように予想できるようになるのです。予想出来るようになれば、次の段階に進むことができます。痒くなることが前もってわかるようになるので、痒みを止める抗アレルギー剤を飲むことで痒くなることを予防することが出来ます。赤みが出るほどの量を食べてしまい、いつも赤くなる場所が決まっていれば前もってステロイドを塗ることで発症を予防することができます。
糖質回避をしていても症状が悪化してしまうことがあります。その時は振り返り法での微調節がオススメです。糖質を食べ過ぎると数時間で痒みを生じ、翌日に赤みが出ます。症状が出た時点で振り返ってみて許容量をこえていないか食べ過ぎをチェックします。食べ過ぎに思い当たることがあれば次から食べ過ぎないように気をつけてみることで症状の再発を予防出来ます。食べ過ぎに思い当たることが無ければスルーして次の症状に備えましょう。
糖質の許容量を知ることと、振り返り法によりアトピー性皮膚炎は自己コントロール出来る疾患になりました。まだ知らない人が多いので周りの人達にも教えてあげてください。
まだ糖質を同じように食べながらアトピー性皮膚炎の治療をしても治らないと困っている人はアクセルを踏みながらブレーキがきかないと言っているようなものです。このことも含めて周りの人たちに教えてあげてください