ギリシャ問題の本質

ギリシャがヨーロッパから世界を揺るがしています。

民主主義の原則に則り、国民の意向に沿って政治を行うのは良いことです。良いことですが、国内だけで問題が解決するなら国民の機嫌をとるだけで終わっては大変です。

債権者の意向を無視し自由奔放に振る舞っているのが問題の本質です。

国民負担を軽くするか重くするかで、国民が選べば軽くすることを選びます。国民は軽くすることが何を『意味』するのか理解しないまま首相を選んでしまったのです。

そして首相は選挙で勝ったことの『意味』を勘違いしたようです。選挙に勝ったから、債権者のことは考えず、国民の負担を軽くする方針が正解だと誤解しているのです。かつて日本で徳政令発令が頻発し経済が混乱したことからも、借りたものを返さないことが許されると非常に混乱します。

そして国民は今までの生活を確保したまま、軽くすることを望んでいます。そんな魔法のような方法はありません。

子供の論理

物事は全て何らかの対価の上に成り立ちます(トレードオフの関係)。負担を軽くするなら何かを我慢しなくてはなりません。そのことを差し置いて要求だけするのは子供と同じです。

お手伝いは嫌だけどおもちゃは買ってという子供の要求と何ら変わりません。子供は要求には対価が必要だというを常識をまだ知らないのですから仕方がありません。子供の場合は教えてあげればいいのです。

何かを欲しいなら何かを我慢するか、何かをして欲しいなら変わりに何かをするのかを身をもって知る必要があるのです。

国の場合は…。1人のカリスマ指導者が現れるのを待つか、大問題と引き換えに、要求には対価が必要だと実感するかでしょう。

ギリシャの場合

ギリシャの場合周辺国や債権者たちは何度も改善策を提案していました。そしてこのままいくと経済的に破綻してしまうことも説明していました。

ギリシャはヨーロッパ諸国がユーロ圏の離脱を認めないと思い込んでいたのです。つまり最悪の事態はありえないと高を括っていたのです。

もしくは治ると思い込んで病院を訪れる患者さんに、どれだけ治らない病気だと説明しても、治らないことの意味が理解できない心理と似ているのかもしれません。

そして子供と同じで、どんなことがあっても見捨てられるわけがないと甘えているのです。見捨てたらヨーロッパも困るから、ユーロ離脱は選択肢にないと勝手に思い込んでいたようです。

期限の2015/6/30までに国民投票を提案されたのに、期限後に国民投票を行うのは物事を論理的に考える人間にとっては意味不明です。

子供の理屈でユーロから放り出されないはずだという根拠のない思い込みがあったと仮定すれば何とか理解できます。

もしかしたらギリシャ首相が常人の常識を遥かに超える『知恵』の持ち主で、現時点の全ての物事を計算し尽くしていて、実は計算通りに事が進んでいることを密かに祈っています。そして世界中のみんなが納得する形で、事態の収拾を図ってくれることを祈っています。

どこかの国のかつての首相のように、思いつきで発電所を地獄にしたようなことにならないことを心から祈っています。

銀行からお金を引き出せない事態で、国民は悪夢から覚めたのかもしれません。もしかしたら本当の悪夢は始まったばかりかもしれませんが、

ヨーロッパ諸国・債権者の誤算

ヨーロッパ諸国の誤算は、ギリシャを大人扱いしてしまったことです。

自分達で賢い判断ができると自分達の価値基準でギリシャを判断したことです。自分達と同じ大人扱いしてしまったのです。ギリシャの人達を貶めるつもりはありません。ただ要求には対価が必要といあ常識、世界中では当たり前のことを、余り理解できていないように見受けできることを表しているのです。

財政破綻は嫌だけど年金は温存、支援して欲しいけど税金はそのままなど。

誰の問題か?(問題論)

誰の問題化を考えるのは簡単です。放置したら誰が困るかを考え、困る人の問題です。
もしかしたらギリシャの人達はヨーロッパの人たちの問題だと勘違いしたのかもしれません。
ギリシャがユーロを離脱するとヨーロッパの人達も困るからギリシャの人達と同じつもりで、ユーロ圏に残るように助けてくれると思っているのではないでしょうか?

ギリシャのユーロ離脱は確かに混乱はしますが、ギリシャの人達の困難より他の国々は遥かに小さな混乱です。その温度差を余り理解できていないように思えます。

もう一つ問題があります。もし財政破綻しても首相は命を失うだけではありません。職を失うだけです。失業してしまう他の国民と同じくらいしか困らないのです。そのためあまり先のことは考えていないのではないかと疑ってしまいます。アナログ思考とデジタル思考でいうと圧倒的アナログ思考で、デジタル思考で考えると明らかに取り返しのつかないデッドラインを越えているのに、デッドラインが理解できずまだ挽回できる可能性がどこかにあるはずだと存在しない可能性を模索しているのかもしれません。

どこかの国の元首相のように、国の運営が目的ではなく、元首相の肩書きを目的に腰掛けで首相になっていないか心配になります。

自分達の問題だと捉えていれば、国民投票は2015/6/30の返済期限までに行うはずです。

私の頭では正直ギリシャの情勢が理解できませんが、理解できる余地があるとすれば上述した子供の論理だけです。私などの常人の考え及ばないような解決方法を、ギリシャ首相が準備されていることを心から祈っています。

幸いギリシャが財政破綻しても私の生活に直接影響はないので、私の問題ではありませんが、世界恐慌を引き起こすことになれば私の問題にもなります。
世界恐慌に陥ることがありませんように。

投稿者:

呉からの風

呉の医師です。 糖質回避教の推奨者です。 様々な分野で気づいたことを掲載していきます。 怒る必要のない子育てを掲載予定です。