甘味と辛味の共通点

甘味と辛味の共通点を考えてみます。わかりやすい共通点はどちらも物を食べた際に感じる味覚です。味覚の中でも苦味や旨味とは異なる共通点があります。

甘味と辛味の共通点とは依存性です。依存性と言っても薬物依存のような病的で危険な依存性とは異なります。わかりやすい言葉で言えば『病み付き』になってしまうということです。

甘い食べ物、辛い食べ物に対して依存してしまうことでどうしても食べたくなってしまうということです。病気としての依存は診断基準がありますが、ここでの依存性とは嗜好の範疇ながら人々の行動に影響を与えるという意味合いです。

ただつい食べてしまうというようにやめられなくなって、『病み付き』になってしまうのです。

甘味依存には甘い食べ物に対して依存するという狭義の甘味依存と、食べているとほのかに甘味を感じる糖質に対する依存である糖質依存も含める広義の甘味依存があります(糖質依存の中に甘味依存があるのか、甘味依存に糖質依存が含まれるのかは、まだ私にはわかりません)。糖質依存に関しては、明らかに病的な状態である肥満や2型糖尿病などの糖質依存症を伴うこともあります。甘味依存に糖質依存症のような甘味依存症が存在するかどうかはまだわかりません。糖質依存と甘味依存が合併している場合も考えられますので、そう考えると糖質依存の亜型が甘味依存と考えることが出来るのかも知れません。

辛味依存には2種類あります。辛味の種類による分類で、塩分依存唐辛子依存をはじめとする香辛料依存です。塩分は人が生きていく上で必要な物ですから適度に食べると美味しく感じるように人間の身体が進化しています。美味しく感じるという快楽刺激に対して依存してしまうと塩分依存となり、その結果として高血圧になってしまった場合は塩分依存症なのだと思います(全ての高血圧が塩分の摂り過ぎかどうかはわかりませんが、もしかしたら人によっては塩としてわざわざ塩分をとらなくても肉や魚本来の塩気だけで十分な人もいるのかも知れません)。唐辛子をはじめとする香辛料は必ずしも人間の身体に必要なものではありませんから本来塩気のように美味しいという感覚を与えることはありません。むしろ香辛料を食べると脳に強い不快な刺激を与えます。この不快な刺激を打ち消すために脳内麻薬が分泌されるのですが、この脳内麻薬の虜になってしまうのです。幸い香辛料の依存はあっても、高血圧の塩分依存症に相当する香辛料の依存症はなさそうです。

甘味依存や辛味依存の概念を持つことで、お店で美味しいと感じる理由を考えてみると良いと思います。

お店で美味しいと思う多くは、砂糖と塩気で味付けされています。焼き鳥やウナギのタレは砂糖と醤油で味付けされていますし、美味しいと感じる焼肉のタレも砂糖と醤油が中心となって味付けされています。これらが美味しいことを否定したい訳ではありませんが、甘味依存や辛味依存の観点からみると食べ過ぎを助長する少しズルい味付けのようにも思います。

依存によって食べ過ぎていないか、立ち止まって少し考えても良いのかも知れません。

ちなみに糖質依存や甘味依存、辛味依存に陥っているとそれらをやめることが想像できないかもしれません。

投稿者:

呉からの風

呉の医師です。 糖質回避教の推奨者です。 様々な分野で気づいたことを掲載していきます。 怒る必要のない子育てを掲載予定です。