糖質制限の危険性を客観的に考えてみる

糖質制限の危険性が話題になっています。
糖質制限の第一人者と言われる方が62歳で突然心筋梗塞による心不全で亡くなられたため議論になっています。

糖質制限の本質

糖質制限は文字通り糖質を制限することですが、糖質は栄養素としては血糖値を上げるだけです。低血糖にさえならなければ、糖質を無理に食べる必要はありません。そして人間には糖質を食べなくても低血糖にならない仕組みが備わっているため問題にはなりません。議論はこれで終わりですが、糖質制限を脂質の問題にすり替えて、糖質制限そのものを問題があるように装っているようです。そのことを詳しく説明してみます。極力客観的に説明したつもりですが、客観性が足らなければ申し訳ありません。一意見として解釈して下さい。
テレビではここぞとばかりに糖質制限が危険だと論じている番組も見受けられますが、とても客観的とは言えない構成です。では何故糖質制限を攻撃するかと言えば、糖質制限されると困る人達がスポンサーにいることが推察されます。糖質制限によって困っているか将来困るスポンサーの機嫌をとるために糖質制限を攻撃している可能性が考えられます。ちなみに糖質制限をされて困るのは糖質を売っているパン屋さんやお寿司屋さんなど直接糖質を扱う業種だけでなく、製薬会社も困ります。何故なら糖質制限すると様々な病気が治療の必要が無くなるからです。2型糖尿病は糖質によって上昇した血糖値が下がらなくなる病気です。そもそも血糖値を直接上げることが出来るのは糖質だけなので、糖質を食べなければ下げる必要がないというわかりやすい理屈です。アトピー性皮膚炎やニキビも糖質を控えることにより新しく出来なくなるので、治療の必要が無くなります。これらの治療薬を販売している製薬会社は糖質制限されては困るようです。

テレビ局がどのスポンサーのために糖質制限を攻撃しているのかはわかりませんし、認めないとは思います。

糖質制限を否定的に報道している番組は言いがかりに近い論理展開がなされています。糖質制限をすると脂肪が多くなるからトラブルを起こすという論理です。百歩譲ってそれが本当だとしても、糖質制限が問題なのではありません。糖質制限の仕方の問題です。糖質制限する際には脂質にも気をつけて下さいねという報道であるべきです。糖質制限そのものを攻撃するのは、糖質制限されては困るからだと思います。

糖質の本当の姿を知っている人にとっては何でもないことですが、糖質のことをまだ良く知らない人は動揺してしまいがちです。そしてテレビで報道されると正しいことだと錯覚される風潮があるため、まずテレビ局が報道する目的を書きました。これから客観的に考えてみます。

糖質回避

一般的には糖質制限と言われていますが、私は糖質回避という言葉を提唱しています。制限速度という言葉のように制限は人に限度を制されるものです。人に食べる物を制限されるのは私の考え方にあいません。

自らの意思で糖質を避けるという糖質回避という言葉が適切だと思います。制限してもらわないと糖質を自分の意思で回避出来ない人は、糖質制限という考え方で良いと思います。

糖質制限と心筋梗塞

一言で言えば糖質制限と心筋梗塞は直接関係はないと思います。その理由を書きます。更に安全に食生活を楽しむための糖質制限(糖質回避)の際の注意点も書いておきます。

糖質制限(私の提唱する糖質回避)とは血糖値を上げる働きしか無い糖質を控えるという食事法です。糖質制限で問題になるとすれば、血糖値が上がらないことによる低血糖です。糖質制限に否定的な人は脳細胞がブドウ糖しか使えないため、ブドウ糖の元となる糖質が必要だという意見です。血糖値が下がると命に関わるのは事実です。しかし糖質からブドウ糖を無理にとらなくても血糖値が下がればタンパク質からブドウ糖を作り出せるため、無理に糖質を食べる必要はありません。実際には脳細胞はブドウ糖以外に脂肪やタンパク質から作り出すケトン体も使うことが出来ます。

糖質制限により起こり得ることは血糖値が上昇しないことです。必要以上に血糖値が上昇することは、ブドウ糖がタンパク質に結合してしまう糖化産物を生じます。この糖化産物が血管障害や神経細胞を障害するようですから血糖値は低いに越したことはありません。血糖値が上昇することで害はあってもメリットは無いはずですから、糖質を食べないこと自体は問題にはなりません。

心筋梗塞は心臓に栄養を運ぶ血管が詰まることで心臓の栄養が足らなくなる疾患です。血糖値が上がることで血管が詰まることはあっても、血糖値が上がらないことで血管が詰まる病態は考えられません。糖質制限自体は心筋梗塞には関係ありません。

心筋梗塞の原因である血管の閉塞の原因を考えてみます。多くは血管内にたまる脂肪が問題となるようです。ということは糖質制限を行う際に、必要以上に脂肪に偏った食生活になることは心筋梗塞の原因となり得ると思います。糖質制限が問題なのではなく、糖質制限の仕方に問題がある可能性は確かにあります。事実脂肪が多い食事をさせた動物実験では心筋梗塞など血管障害を引き起こす可能性は指摘されています。またタンパク質においても動物性タンパク質を多く食べると動脈硬化が進むという報告があるようです。植物性タンパク質では動脈硬化が進まないそうです。元の論文を読んではいませんが、動物性タンパク質が原因かそれに付随する動物性の脂肪が問題なのかは定かではありません。

亡くなられた方がどのような食生活をされていたかは定かではありませんが、もし脂肪分の多い食事をされていたのであればその食事が原因の可能性は確かにあります。糖質だけでなく脂肪分も控えておられたのであれば、糖質制限前の食生活の影響が血管内に残っていた可能性があります。もしかしたら動物性タンパク質を食べる量が多く動脈硬化が影響があった可能性は否定出来ません。

糖質制限は今の所糖質だけを制限すれば良いと考えられていますが、長期間安全に行うためには植物性タンパク質を中心に脂肪分はある程度控え目(脂肪分を多めに食べる実験で心筋梗塞が増えたという結果は確か40%か60%を脂肪として食べる実験でした)にする方が無難だと思います。データに基づくわけではありませんが、私の感覚では食べる量の20%程度の脂肪であれば問題ないのではないかと思います。

糖質制限の目的によって食べ方は異なります。ダイエットが目的であれば糖質依存を抜けるだけで簡単に目的は達成出来るでしょう。糖質依存を抜け出す短期間であれば、糖質を控えるだけでタンパク質や脂質、何を食べても構わないと思います。万全を期すのであれば、植物性タンパク質を中心に脂肪も食べ過ぎないようにすると良いと思います。そして一度糖質依存から抜け出せば、再び糖質依存に陥らない範囲で、糖質を食べることすら問題はありません。長期間糖質制限を続けるのであれば万全を期し、植物性タンパク質を中心に脂肪も食べ過ぎないようにすると良いと思います。

投稿者:

呉からの風

呉の医師です。 糖質回避教の推奨者です。 様々な分野で気づいたことを掲載していきます。 怒る必要のない子育てを掲載予定です。