近い将来銀行は淘汰されていく

銀行に対して恨みがある訳ではありませんが冷静に考えて、近い将来銀行は淘汰されていくと思います。特に地方銀行はかなり厳しい状況に追い込まれそうです。50歳代の銀行員は定年まで何とか持ちこたえられるかもしれませんが、40歳代はかなり厳しいと思います。このマイナス金利で急激に銀行員の未来が閉ざされつつあります。30歳代は間違いなく銀行の統廃合に直面すると思います。

将来に渡って安泰だと誤解されている医者のことを考えても2つの理由から悲観的です。医者は余るので、恐らく待遇は悪化します。丁度参考になるのが歯科医です。歯大を作り歯科医を量産したあと、予防が徹底されたため患者さんの争奪戦となっています。一説によると歯科の勤務医は看護師さんよりも年収が少ないというデータも拝見したことがあります。

話が脱線しましたが、今回予想するのは銀行です。

銀行は人や会社にお金を貸すことで金利により商売をしています。これまではお金を貸す側が主導権を握っていました。お金を貸しても大丈夫な人を選んで貸していました。お金を貸す相手を選ぶこと自体は、確かに仕方のないことでもありました。貸したお金が返ってこなければ意味がありません。貸したお金が返すことが出来るかどうかを見極める与信という作業にノウハウが蓄積され、ここが銀行員の腕の見せ所でした。

お金を借りることの出来る人は、銀行を選ぶ時代になりました。地元の銀行で借りるのが当たり前でしたが、金利が銀行によって異なるので金利の安い銀行を選ぶ時代になったのです。しかも金利が下がっている今は、借り換えると借り手も新たな貸し手とも得をする仕組みです。既に銀行からお金を借りているということはお金を貸す際の最も大切な与信をクリアしているのですから、借り換えてもらえればリスクも低く銀行にとってもお得です。

低金利に見合わないリスクであれば、借り換えを受けないだけのことです。つまりリスクの少ない借り手は低金利にドンドン乗り換えていきます。特に住宅ローンは借り換えリスクも低く、低金利での借り換えが可能です。返済期間がかなり長いので金利差が大きくなるからです。

現在は銀行員が行っている与信も、近い将来人工知能が活用されるに違いありません。嘘を見抜いたり必要な情報を集めるのは当面人間でないと無理かもしれませんが、必要な情報から融資可能かどうかの判断は人工知能の方が得意になるかもしれません。

これから銀行同士の競争が激化します。リスクの低い人達の住宅ローンを中心にした銀行が低金利で引き受けます。通常の銀行は金利以外の魅力を打ち出せなければ住宅ローンを扱うことはなくなります。

更に伏兵はインターネットです。住宅ローンは金利の安い銀行に集約されます。インターネット銀行が住宅ローンを扱うようになると思います。もしかしたら私が知らなだけで既に始まっているかもしれません。他にもインターネットに取って代わられる分野があります。企業への融資です。アイディア一つで、銀行のように細かいことを言われずインターネットを使って資金を集める方法が生まれました。クラウドファウンディングという手法です。アイディアをインターネット上に露出し、そのアイディアの製品を購入したい人が開発費を負担する代わりに安く手に入れる仕組みです。消費者にとっても作り手にとってもお得な仕組みです。クラウドファウンディングを利用するのは、元々銀行に融資してもらうような案件ではないことが多いとは思いますが、企業がお得だと思えば銀行を利用しなくなると思います。アイディア一つで市場調査も兼ねているので銀行の融資係よりはるかに合理的です。

かといって銀行という業種はなくならないとは思いますが、銀行の数が今ほど必要はなくなると思います。必然的に銀行の数が減ると思います。銀行員をリストラして現在と同じような待遇を維持するか、リストラせずに人数を保ったまま待遇を悪化させるかです。他の業種で起こっていることを考えれば恐らくリストラが起こるのではないかと思います。

銀行員の人達は今のうちに次の展開を考えておく方が良さそうです。今から銀行員になろうと考えている人は、銀行の仕事が競争にさらされていることを知っておく方が良いと思います。銀行は様々な制約を受けてはいますが、国から認可を受けた業務を独占しているので努力を怠っていました。そのツケを一気に払わされることになりそうです。例えば振り込み業務は長年15時で終わりです。ネット決済がこれだけ発達してもこのルールを改善しようとしませんでした(ようやく改善するようですが…)。何故なら銀行以外が振り込み出来ず、競争相手がいなかったからです。競争相手がいないので、改善しなくても困らなかったのです。銀行の独占業務に守られていましたが、これからは銀行同士の競争が激化するのですから大変だと思います。

目まぐるしい勢いで状況が変わる現代において、将来にわたって安泰な仕事はなさそうです。医者も銀行員も厳しい時代がやってきそうです。

今の赤ちゃんが働く頃にはどんな世の中になっているのか怖くもあり、楽しみでもあります。

投稿者:

呉からの風

呉の医師です。 糖質回避教の推奨者です。 様々な分野で気づいたことを掲載していきます。 怒る必要のない子育てを掲載予定です。