3人落とした元職員の心理を考えてみます。直接話をした訳ではないので間違っている可能性も十分あり得ます。もしかしたら本当かもしれない一つの仮説、フィクションのようなものとして読んでいただければと思います。
救急救命士の資格を持っているとのことです。そして日頃は周囲の人達に飲食を奢ることで称賛されることを望んでいたようです。お金が足らないので入所者の人達のお金を盗んでいたようです。
また転落の直前に口論していたという証言が報道されていました。
証明出来る訳ではありませんが、これらのことを考えてみると1つの心理が浮かび上がります。
救急救命士の資格を持ちながら介護士として働いていることを考えると、何らかの不満を抱えていたことが推察されます。更に口論の証言から考えると、カッとなって衝動的に落としてしまったことが考えられます。
そして第一発見者としてかけつけ、救急救命士の資格を持っていることから救命処置を行ったことが考えられます。その際同僚から救急救命士の資格を持っているから自分達が対応しなくて済んで助かったと称賛されたことが類推出来ます。口論になる程自分をイライラさせた相手を殺したにもかかわらず、疑われることなく称賛される。入所者の方に対して職員が口論する時点で自己中心的な思考がうかがえますので恐らく歪んだ思考回避なのではないかと思います。
代理によるミュンヒハウゼン症候群?
この称賛が自己の承認欲求を満たし、代理によるミュンヒハウゼン症候群のような心理に陥らせたのではないでしょうか?代理によるミュンヒハウゼン症候群とは、人を病気や治療が必要な状態にさせることでその人の介護や治療をすることで称賛してもらうことを求める精神疾患です。子供が病気になることで優しく介護する親に多くみられます。子供を病気にするために消毒液を飲ませるなどの常軌を逸した行動をとります。ちなみにミュンヒハウゼン症候群とは自分が病気になることで、周囲の人達から特別扱いしてもらうこと(疾病利得)を求める精神疾患です。代理というのは自分の代わりに他人に病んでもらうのです。
更に自分がイライラする相手を消し去ることをしても疑われないことが、自分には特別な力があると錯覚したのかもしれません。
発覚しなかった理由
入所者の人を窓から落とすということは、周囲の人達が想像すら出来ない出来事だったため、疑いもしなかったのです。疑われないから犯行を繰り返したのです。同じ人間が当直の際に3人もの転落があって初めて疑われました。本来手すりを乗り越えることの困難な方だっために第三者の関与が疑われました。もし疑われなければ、4人目5人目の犠牲者が出ていたかもしれないのです。
そもそも物事を理解するためには概念が無ければ困難です。つまり今回の場合、自分の身勝手な欲求を満たすために入所者の人を殺す人が存在するということです。普通の人であれば人を殺すという心理は理解出来ません。しかし高額の金銭や余程の恨みがあれば人を殺すという心理は何とか想像することは出来るかもしれません。仕事にもかかわらずサービスを提供すべき入所者の方に対して殺意を抱く人間が存在することが、想像も及ばない思考回路だったので理解出来なかったのです。施設の人も警察の人達も。
嘘つきは泥棒のはじまり。殺人で終わり
報道によると元介護士は周囲の人達に飲食を奢っていたそうです。奢ることで称賛され、自己の承認欲求が満たされたようです。奢ってもお金がある理由を、他でも働いているという嘘をついていたそうです。その嘘を誤魔化すために入所者の方からお金を盗むようになりました。正に嘘つきは泥棒のはじまりでした。恐らく善悪の区別がつかなくなり、やって良いこととやってはいけないことがわからなくなったのだと思います。通常の人は倫理観がストッパーとなり行動を制限し、やってはいけないことを自重するのですが、ストッパーが外れてしまったような心理状態だったことが類推出来ます。3人亡くなるまではあからさまに疑われないことで、自分の行動は正しいと錯覚してしまったのかもしれません。
善悪の区別がつかないので、やってはいけないことつまりタブーがなくなります。最悪の行き着く先が殺人となってしまうのです。
恐ろしいのは2人亡くなった時点で職場を変わっていれば、事件として発覚しなかったかもしれないことです。発覚するかもしれないという警戒心に乏しかったため3人もの犯行ん繰り返すことで発覚しました。もし警戒心もある犯罪者であれば発覚しないかもしれないのです。
代理によるミュンヒハウゼン症候群という常人では計り知れない心理で行動する人が存在することを多くの人が知っておくことが、同じような事件を繰り返さない唯一の方法だと思います。