以前はお医者様と言われるくらい一般的に地位が高く、医者の言うことに人々は一目置いていました。
最近では医者の地位は以前より相対的に下がり、医者の言うことを疑ってかかる人も増えてきました。
かつて患者さんが医者に従わざるを得なかったのは、医学情報を医者が独占していたからです。医学書や学会誌を読んで必要な医学情報を得るしか方法がありませんでした。患者さんと医者の間には計り知れない程の情報格差があったのです。ある意味では以前記載した情報による支配が、医者と患者さんの間にあったのだと思います。持っている情報が医者と患者さんの間で大きく異なっていたため、患者さんは医者に従わざるを得なかったのです。診断はこれで、治療はあれですと言われれば反論出来るだけの情報が無かったのです。
余りに患者さんが不利だということが問題となり、インフォームドコンセントというキチンとした説明と患者さんの同意が求められるようになりました。目的がよくわからないまま導入した医者も多く、目的が裁判対策だと誤解している医者もいたのだと思います。本来の目的は患者さんに病気と治療法を理解してもらった上で了承してもらうことです。あくまでも患者さんのために行うべきものがインフォームドコンセントです。一部の勘違いした医者の言動で医療不信を引き起こし、マスコミが煽ったことで全ての医者に厳しい目が向けられることになりました。このことが医者の存在価値が下がった理由の一つです。
医者の存在価値が下がった一番の理由は、医学情報が誰でも簡単に手に入るようになったことです。何万円もの医学書を買うことなくネットで医学情報が簡単に手に入るようになったので、病気のことを必ずしも医者に聞く必要が無くなったのです。自分の罹患した一つの病気に関してだけしっかりと調べた患者さんの持つ情報と、医者の知っている情報が逆転することもあり得るのです。
今はまだ医学情報が患者さん向けに整理されてはいないため、全ての患者さんが正確な情報を得られるとは限らないのが現状です。しかし以前のように医者に聞くしか病気のことがわからない時代は完全に終わりました。医者が医学情報を独占していたから、患者さんは仕方なく医者に従っていたのでした。情報格差が解消されつつあるため、医者の存在価値が下がっているのです。患者さんの中にはインターネットで情報を集め、自己診断してから来られる方もおられますが、大体半分くらいが正しく診断されています。数年前までは一割か二割程度しか正しく診断されていなかったので医学情報が行き渡りつつあるのだと思います。そして自己診断してから来られる患者さんも増えていることも考え合わせると、急速に医学情報が広まりつつあるようです。この点で医者の存在価値が下がりつつあると思います。近い将来誰かがインターネット上の医学情報を整理し、自己診断を補助するサイトが出来れば、病院では薬をもらうだけで済んでしまう時代がやってくるかも知れません。
最終的には人工知能が進化すると、診断、治療をするのが生身の人間である必要がなくなりのです。結果として近い将来医者が余ることになるのです。
言い換えると病気のことは他に選択肢が無かったため、医者に頼るしか無かったのです。今では医者に頼らない選択肢が増えたため、存在価値が下がってしまったのです。これから益々医者に頼る必要は無くなりそうです。年配の医者は引退が早まるだけですが、若い医者はどうするのでしょうか?しかも医者不足として医学部の定員を増やすので、大変です。
更に糖質回避により、そもそも病気が失くなるのですから、医者の存在価値は益々下がることになるでしょう。まだ多くの医者は知らないようです。