悪い利益と良い利益

実は利益には悪い利益と良い利益があります。悪い利益とは暴利を貪る利益のことで、事業の目的そのものです。悪い利益は利益が事業の目的そのものなので、とにかく利益を追い求めます。良い利益とは適切な利益のことで、事業を継続するための必要経費のようなものです。

一昔前までは全ての企業が悪い利益を追求していました。というよりも良い利益という概念が無かったので、利益を目的として追い求めることは資本主義では当たり前と考えられていました。今でも良い利益という概念を知らなければ、利益といえば当たり前に悪い利益のことを表します。

悪い利益

悪い利益とは周りのことを全く考えず、自分だけの利益を追求することです。仕入れをする取引先のことはもちろん、お客さんのことも利益を追求するための手段としか考えていません。そこまで極端ではなくても、取引先やお客さんよりも利益を優先するのが悪い利益です。

とにかく利益を上げることが目的なので、なりふり構わず利益を追い求めていました。少しでも売るためにお客さんに誤解させてでも有りましたし、場合によっては嘘をついてまで売っていたのです。悪い利益を追い求めた結果食品産地偽装や、燃費の偽装などが行われたのです。悪い利益を追い求めているとお客さんのことが後回しになってしまいます。お客さんを蔑ろにしていることが発覚すると、お客さんに相手をされなくなるので淘汰されてきました。

利益を生み出す仕組みを考えるのですが、企業の利益とお客さんの利益が相反してしまいます。上手な仕組みを考えなければ、お客さんの利益を損なってしまいます。一時的な利益を得ることは出来ても継続出来ない企業が多いのは、企業の利益とお客さんの利益という相反する利益の手加減が難しいからです。企業のことしか考えていない悪い利益は、いずれお客さんにわかってしまいます。利益を生み出す仕組みがお客さんの思惑とズレてしまうと、突然利益を生み出すことが出来なくなります。

悪い利益を継続して生み出すことは非常に困難ですが、極々稀に企業の利益とお客さんの利益の手加減が出来る天才的な経営者がいます。残念ながら天才的な経営者から引き継いだ人が上手く経営出来ないことが多いのは、その時その時で絶えず変化する状況に合わせて利益の手加減を変えることが普通の人には出来ないからです。代がわりの際に悪い利益の手加減の調整が出来ない時点で、良い利益の得方に変えることが出来るかどうかです。初代経営者が天才だと2代目、3代目が苦労するのは、悪い利益を追い求める手加減の仕方がわからないからです。

企業の方針が利益が出るかどうかで判断しています。全てを間違うことなく当てることが非常に困難なのは周知の通りです。

悪い利益を追い求める人達はどうすれば儲かるかを考えています。お金が目的ですからお金のことしか考えられないのです。お金を得ることに知恵を絞ります。そしてお金が全ての判断基準であり、お金のことしか考えられない人達の集まりになってしまいます。いわばお金の魔法に取り憑かれてしまった考え方なのかもしれません。

利益が出なければ誰かが責任を取らなければならなくなります。だから余計利益を追い求める悪循環に陥ります。

良い利益

賢い企業は良い利益に既に気付いています。お客さんの利益になるような仕組みを考えるのです。当然企業も経営していく上で利益は必要です。この場合の利益は経営を継続するための必要経費のような位置付けです。

良い利益とは目的ではなく、継続するための手段としての利益です。

良い利益を表す諺を提唱しています。

利益は企業の為ならず

利益を追い求めることは企業の為にはなりません。利益は企業のためにあるのではなく、お客さんのためにあるべきなのです。

このように考えることの出来る企業は経営がブレることがありません。企業の方針は利益が出るか出ないかではありません。お客さんのためになるかならないかです。お客さんのためになるなら行う、お客さんのためにならなければ行わないのでブレることがないのです。お客さんのためになることの中から、如何にして利益を生み出す仕組みを作り出すことに知恵を絞るのです。

もし利益が出なければ継続が出来ないだけです。少なくともお客さんの利益にはなっているので、継続出来ないことが残念なだけです。お客さんの利益によりお客さんさんを喜ばせることが出来たという結果が残るのです。

良い利益とは継続するための必要経費としての利益と、お客さんの利益という二つの『意味』を合わせ持ちます。

この二つの『意味』に気付いた企業は無敵になることが出来ます。まだ数は少ないのですが、確実にいくつかあります。良い利益を追い求める企業がどこなのか考えてみて下さい。

投稿者:

呉からの風

呉の医師です。 糖質回避教の推奨者です。 様々な分野で気づいたことを掲載していきます。 怒る必要のない子育てを掲載予定です。