かつては生産性が高かった日本の生産性が上がらない理由その1 サービス残業を以前書きました。今回はその2として残業を取り上げたいと思います。
私は以前書いたサービス残業だけでなく、残業という制度そのものが日本の生産性を蝕んでいると思います。その理由を書いてみます。サービス残業では残業をしても残業代を支払わないので、企業側が残業をする方向に仕向けます。残業に対する対価を支払わないため、躊躇することなく残業させるのです。
では残業代を支払う場合に何が起こっているかというと、わざとゆっくり仕事をする輩がいるのです。目的は残業代を稼ぐことです。現在の仕組みでは手を抜けば手を抜くほど収入が増えるのですから、わざわざ急ぐ理由などありません。急いでいるふりだけすればいいのです。上司の仕事は急いでいるふりを見ることです。真剣に働いているかどうかを見抜くのが本来の仕事のはずです。
ちなみに本人はゆっくり仕事をしているつもりは全くありません。真剣に仕事をしているつもりになっているのです。つもりということがポイントです。真剣に仕事をしているつもりのため、真剣に仕事をしろと言われても、真剣にしていると言い返すのです。残業する本人たちは仕事の量が多いと不平を言いながら残業しますが、その実仕事の仕方が問題なのです。わざとゆっくり仕事をする人と、仕事の量が多くて止むを得ず残業になる人の区別がつかないからです。仕事が早くて定時で帰ることの出来る人の方が、仕事が遅く残業代をもらえる人より収入が少なくなるのです。それでも仕事を早くしようと考えるでしょうか?
ゆっくり仕事をする方が収入が増える仕組みを誰も訂正しないことが、日本の生産性が上がらない理由だと思います。問題は途中で仕事の質を判定せず、最後まで同じ人が同じ仕事をすることです。
対策
残業代が長時間労働を生むで書いたように残業代を目的にゆっくり仕事をしてしまいます。かといって残業代を支払わないサービス残業とすると前回書いたような問題が生じます。ではどうしたら良いのでしょうか?
残業代を支払わない訳にはいきませんが、かといって残業代を支払うと残業代を目的にしてしまうことが問題です。残業の仕方を変えるのです。わざとゆっくり仕事を出来ないように、仕事が残った時点で仕事の早い人に引き継ぎ、仕事の早い人が残業するのです。そうすれば仕事の早い人に残業代が支払われるため、能率も上がりますし、残業代が無駄にはなりません。残業を人に任せる場合、引き継ぎ出来ないという人がいますが、人に引き継ぎ出来ない時点で仕事の段取りに問題があるのです。もしくは自分の仕事を人に説明出来るほど理解出来ていないのです。自分の仕事を理解出来ていない人間に残業代を支払うので、ますます生産性が上がらないのです。
引き継ぎが出来ない場合、仕事の目的・到達点と現状を伝えることで代用するしかありません。目的・到達点すら伝えることが出来ないのであれば、そもそもの采配ミスなのかもしれません。采配ミスを炙り出すことが出来るのも、残業を人に引き継ぐ利点です。
当然残業する人の評価が高まり、残業を人にこなしてもらう人の評価は下がります。生産性の低い人と生産性の高い人を見分けることが出来るのです。生産性の低い人は、適材適所の考え方で、適正のある働き方を探す方が良いのかもしれません。人に残業してもらうことになると評価が下がるため、定時で仕事が終わるように全力を尽くすようになると私は思います。つまりゆっくり仕事をする人と、真剣に仕事をする人を見分ける必要がなくなるのが一番のメリットです。