中学受験の意味

お子さんに中学受験をしてほしいと考える人もいれば、中学受験など必要ないと考える人もおられると思います。
私なりに現時点での結論らしきものを見つけたので、今回は中学受験の意味を考えてみたいと思います。

中学受験の目的

受験勉強の時期を早める

人によって中学受験する目的は色々あると思います。多くの人たちが考えるのは中学受験に成功し中高一貫校に入学することができると高校受験をしなくてもするというメリットがあります。中学受験をするか高校受験をするかの選択肢の中から中学受験を選択するということです。受験勉強を中学でするか高校でするかの違いと考え、義務教育である中学を終了した高校進学希望者全員が受ける高校受験よりも、中高一貫校への進学を希望する比較的数少ない人数での競争の方が楽だと考えて受験する場合も多いようです。受験とは相対評価、他人よりも優れていると成功するので、競争相手が少ない中学受験を選択するという考え方です。

有名大学進学率を高める

有名大学への進学は中高一貫校の方が有利です。中学受験に成功すると有名大学へ進学できる確率を高めることができるため、大学進学を見据えて中学受験をすることもよくあることのようです。中学受験に成功すれば必ず有名大学に進学できるわけではありませんが、確率が変わるという考え方です。

似たような能力・価値観の友達ができる

あまり意識されることが少ないかもしれませんが、似たような能力・価値観の友達ができることが最大のメリットかもしれません。例えば大学に進学するのは当たり前と考える人たちが集まるという意味です。
公立中学では済んでいる地域だけで同級生が決まるため、様々な考え方の人たちを同級生になります。勉強は嫌いだから中学を卒業すればすぐに働くという人も同級生にはいるでしょう。そういう意味で考え方の多様性を身につけるために私は良い経験になると思いますが、能力・価値観が異なることもあるため進学に対する考え方一つとっても話がかみ合わないこともあります。
中学受験を経て中高一貫校に入学すると、考え方・前提条件が似たような人達が集まることで前提条件の確認をすることを省くことができるなど楽に話ができるようです。その分考え方の多様性が失われてしまうことに気付けなくなってしまいます。

勉強を上手に教える先生が多い

私立中学は生徒を集める競争をしているため、勉強を上手に教える先生をそろえる傾向にあります。生徒を集めるという発想に乏しい公立中学よりも塾に近い発想です。せっかく受験を乗り切り入学しても授業に魅力がなければ、その噂は広まり受験生が減ってしまいます。そういう意味で努力している先生が私立中学の方が多い傾向にあると思います。
しかし近年状況が変わってきました。
勉強に関してだけ考えれば、わかりやすい授業の動画がネット上にあるからです。直接授業を受けたいと望むのであれば以前と同様中学受験を乗り切るしかありませんが、面白い授業そのものがインターネット上には存在するようです。魅力的な授業を受たいという意味では必ずしも私立中学に進学しなければならない時代ではなくなったのかもしれません。(私立中学の魅力がなくなったと言いたいわけではありません。環境が変化したということです)

中学受験の問題点

私が考える一番の問題点は算数だと考えています。何故なら中学の範囲になれば方程式で簡単に解くことができるようになる問題を、わざわざ方程式なしで解く方法を考えなければいけないからです。頭の使い方をトレーニングするという意味合いでは多少の意味があるのかもしれませんが、方程式という近道が用意されているのに、方程式なしでわざわざ遠回りをさせているように思えるからです。他の教科は考え方のベースになる可能性があるため意味があると思いますが、算数に関しては全く意味がないと思います。

中学受験をする方が適切な子供

一般的には高校受験をしたくないという子供が中学受験を目指すようです。中学の3年間で受験勉強をしなければならないためクラブ活動などに本腰を入れることが出来ないかもしれません。
良い大学に進学したい人も中学受験をすることが多いようです。
しかし学力の経済学によると、一卵性の双子による研究結果で進学した大学の学歴による年収の差はないそうです。つまり難しい大学に進学出来る能力があれば、大学に進学しなくても年収は変わらないそうです。
将来の年収を上げるために中学受験する意味はあまりないのかもしれないと私は考えるようになりました。

私が考える中学受験をする方が適切な子供は、小学校で友達が出来ないような子供です。周りの子供達と価値観が異なり、会話が成り立たないような子供は中学受験をする方が適切だと思います。もしかしたら思考レベルが違い過ぎて会話が成立しないかもしれないのです。
公立の小学校・中学校では様々な価値観の人たちがいます。勉強を全くする気のない人たちも一定数いるはずです。そういう価値観の異なる人と話をすることがつらいと考える子供達は中学受験をする方が適切かもしれません。
中学受験に成功すると似たような価値観・能力の人たちの集まりとなるため会話が成り立ちやすくなります。

ちなみに高校時代の同級生と仲良くなることが多いのは、住んでいる地域だけによって集まった中学の時と異なり、高校では受験というフィルターを通ることで似たような価値観・能力の人たちが集まるからだと思います。

小学校の間に中学や大人になっても付き合っていけそうな友達のできた人は中学受験をする必要はないように思います。
小学校で友達が出来ないのはもしかしたら優秀すぎるかもしれないのです。そういう子供は中学受験をしてみると良いと私は思います。生涯の友達を作る目的で中学受験をするのが良いと私は考えています。

2020年度新テスト導入で中学受験の意味が変わる

2020年度に新テストが導入されるそうです。
その新テストは方針が全く変わるため、中学受験の意味が変わります。
大学への進学を考えるとこれまで以上に中高一貫校が圧倒的に有利になります。
これまでは中学受験をする意味は上記のように友達を作るためだったものが、新テストにより変わるかもしれません。
そのことに関しては改めて書きたいと思います。

投稿者:

呉からの風

呉の医師です。 糖質回避教の推奨者です。 様々な分野で気づいたことを掲載していきます。 怒る必要のない子育てを掲載予定です。