自動車無資格検査発覚に思う

2つの自動車製造会社で国の規定した資格を持たない従業員による無資格検査が発覚しました。本来なら国が行うべき検査を製造会社に任せて行ってもらうようなものです。これは泥棒兼警察とは言わないまでも、審判兼プレイヤーのようなものです。

ゴルフをされる方はわかりますが、ゴルフは紳士のスポーツであり全てのプレイヤーが審判を兼ねています。自分で自分を律することの出来る人だけがするべきスポーツです。何故なら得点が自己申告だからです。4人あるいは3人でプレイすることで、他の人達が暗黙の見張りの役割を果たすことになります。もしゴルフが1人でプレイするスポーツであれば競技としては成り立たないと思います。誰も見張る人がいなければ勝つためにズルをする人も出てくるため、公平性が担保されないからです。つまりいくらゴルフが紳士のスポーツとはいえ、他人の目がなければ競技として成り立たないはずです。

自動車製造会社の不正

検査する人間は会社の人間ですから、会社の利益になるように行動しがちです。他人の目が無ければズルをしたくなってしまいます。何故ならズルをする方が明らかに儲かるからです。少なくともズルをする方が楽でやり直しなど面倒くさいことを避けることが出来ます。

誰しもバレさえしなければズルをしたい欲求に駆られるでしょう。ただ多くの人はバレた時のことを考えてズルをしたりはしません。バレるかも知れないという想像力の欠落により、ズルをしてしまう人がいるのです。

よく性善説に基づいて制度設計をしているから仕方ないという人達がいますが、そもそも性善説や性悪説自体の議論は意味がありません(参考:性善説と性悪説なんて意味がない)。誰しもズルや楽をしたいと考えるものです。ただ実際に行動してしまう人は極僅かです。ズルや楽をしたことが後でわかると結果として損をすることを知っているからです。

自動車製造会社の不正はバレる訳がないと考えていたはずです。常態化していたとすれば、不正だという認識すらなかったのかもしれません。その証拠に不正が発覚してからも続けていたことです。

解決策

私はプレイヤー兼審判という仕組みが問題だと思います。本来なら国が行うか第三者が行うべきだと思いますが、現在出来上がっている仕組みを根底から変えることは非常に困難です。

そこで私が提案する解決策は、他社の車の検査を行うことにするのです。A社はB社の車を検査し、B社はC社が検査し、C社はD社を検査しわD社はA社を検査するのです。そして検査する対象を年毎に変更するのです。馴れ合いが無くなり、検査する会社が変わる時点で不正があれば発覚してしまう確率が高まります。あえてライバルメーカーのために発覚するリスクを負ってまで不正をすることは恐らくないでしょう。少なくとも自社で検査するよりは遥かに確率は低くなるでしょう。

不正を行ったとしても発覚しにくい仕組みから不正を行いにくい仕組みに変更するのです。新たに国が全ての車の検査を行う仕組みを作るよりは現実的な解決策だと思います。

投稿者:

呉からの風

呉の医師です。 糖質回避教の推奨者です。 様々な分野で気づいたことを掲載していきます。 怒る必要のない子育てを掲載予定です。