説明の極意 相手のわかる言葉で伝える

説明の極意を考えてみます。
一番大切なことは相手のわかる言葉で伝えることです。
当たり前のことだと思われて、意味が分からない方は注意が必要です。
何故なら相手のわかる言葉で伝えているつもりで、相手にとっては知らない言葉で伝えているかもしれないからです。相手の頭の中を覗くことはできないからです。

相手のわかる言葉とは?

相手のわかる言葉とは、理解できる言葉のことです。日常生活で使っている言葉であっても、一つの言葉が様々な意味を持つため話の道筋の中で理解できるかどうかは別問題です。
想像力が豊かな人は説明が上手です。それは想像力を駆使して相手のわかる言葉を選んで説明に使うからです。例えば幼稚園児に想像力を働かせてくださいと説明しても理解できないと思います。思い浮かべてみてください。好きなことを考えてみてくださいという言い方でなければ、理解できないのではないでしょうか?

キーワードで確認する

幼稚園児という極端な例だから相手がわからない言葉が容易に想像がつきますが、大人同士で話をしている場合相手のわかっていることを推し量るのは簡単ではありません。推し量るのは簡単ではないだけに、相手のわかる言葉を確認しながら説明するしか方法がありません。言葉の確認とはキーワードになる言葉を知っているかどうかを聞いてみるのです。知っていなければそのキーワードの説明からはじめていくとよいと思います。
もしくは最初からできるだけ簡単な言葉を使いながら説明するのです。

相手に概念があるか確認する(概念の欠落の確認)

わからない言葉の中には概念がない場合があります。
概念がなければいくら言葉で説明しても決して理解できません。
概念がない例えは想像してみてください。
赤道直下の平地の原住民に雪のことを伝えることです。
氷すら見たことがない原住民に雪を伝えるのです。
誰かがこれまで伝えていなければ絶対に雪の概念はないと思います。
原住民が雪を知らないことは想像ができますが、日常生活で話をしている人に概念がないことを確認するのは困難です。説明してもなかなか分かってもらえない場合、わからない言葉以前のわからない概念があるため理解してもらえないのかもしれません。

日本語が通じているとみんなが同じ概念を頭の中に持っていると思い込んでいますが、人の知っている概念が抜け落ちていることもよくあることです。概念の欠落の確認。
概念が欠落していると会話が成立しないので、そんなこともあるのかと頭の片隅にでもおいておいてみてください。

質問が下手な人とその理由

質問が下手な人というのはどこにでもいるものです。考えられることは2つです。相手の知識と自分の知識の差が認識できないかアナログ思考タイプなのかも知れません。

相手の知識と自分の知識の差が認識できない

自分の知っていることは相手も知っていて当然常識だと思い込んでいる人です。常識を疑わない人は、人も当然知っているとして知らないこと疑いませんし想像もつきません。何を聞きたいか自分の中ではわかっていても、相手の知っていることと知らないことの区別がつかないため、質問が支離滅裂に受け取られます。質問された側は知っていることと知らないが混在していることを、当然知っているとして質問されるので混乱してしまうのです。

相手の知らないことが認識できない質問者への対策

知らないこと・わからないことが質問に含まれていれば、逆にわからないことを確認していくことだと思います。

中には自分の知識をひけらかしたい輩がこの部類に含まれているので、厄介です。知識が多くて凄いと言ってもらうことが目的なので、適当に相手しましょう。

アナログ思考タイプの人

自分の中で思考の境界が不明瞭な人のことをアナログ思考タイプと表現していますが、自分自身の中でも区別が曖昧なため、聞きたいことも曖昧な表現となってしまいます。デジタル思考タイプの人であれば、2つの境界は何ですか?という簡単な質問で済みますが、アナログ思考タイプの場合境界が不明瞭なためどう聞いたら自分が理解できるかわからないのです。その自分でもわからないことを質問するので、質問された側ちわかる訳がありません。

アナログ思考タイプの人の対策

質問する場合、アナログ思考タイプの人の苦手な境界をはっきりさせ、何を聞きたいのか明確にしてもらうことです。

もしくは一言で答えられる質問に集約してもらうことです。アナログ思考タイプの人に物事を説明するのは多くの具体例から、アナログ思考の人が何となく読み取る必要があるかなり時間がかかります。アナログ思考の方に工夫してもらうのは、わからないことは何かを突き詰めて考えてもらい、何がわからないか一言にしてもらうのです。この突き詰める作業をアナログ思考タイプの人は人任せにしがちなので、質問が下手だと評価されてしまうのです。

何が聞きたいのか一言で質問してください

が質問が下手な人への究極の対策だと思います。

話の早い人と話の通じない人の違い

同じ話をしていても、相手の理解力には雲泥の差があります。
その理解力をある程度揃えるために、学校によっては成績別のクラス編成を行います。
本来なら日常会話でも話の早い人と話の通じない人とでは説明の仕方を変えるべきだと思います。
この理解力の差があることが問題です。

話の早い人

話の早い人というのは理解力に優れた人です。一つは元々の知識量が多く、相手の言っていることを理解しやすいことが考えられます。もう一つは知らないことでも知っていることから想像力を働かせて、極力理解しようとすることです。
いわば情報を受け取る守備範囲が広い人が話しの早い人です。
一を聞いて十を知るタイプです

途中説明を省略しても間の情報を持ち合わせた知識で埋め合わせて、正確に理解してくれるので話が早く正確に伝わるのです。

話の通じない人

話の通じない人は理解力に乏しい人です。こちらの伝えていることがなかなか理解してもらえません。伝え方に問題がある場合もありますが、様々な角度から説明してもピンと来ず、どうしても理解してもらえません。
その理由は知っていることだけ理解できて、知らないことは全く理解しようとしないことに起因します。知らないことは知らないとして諦めが早いとも表現できます。話の早い人であれば、例え知らないことであっても想像力を働かせることで極力理解しようとしてくれますが、話の通じない人はあまり想像力を働かせることはありません。
話の通じない人は悪気があるわけではありませんが臨機応変に対応することが難しく、杓子定規にわからないことをわからないとして話を打ち切ってしまいがちです。性格として面倒なことを避ける傾向にあるようです。
いわば情報を受け取る守備範囲が狭い人が話の通じない人です。

対策は出来るだけ簡単な例え話を例にして、少しずつ理解してもらうことです。
そして細かく全て説明することです。相手も知っている常識だと思って途中の話を省略することなく事細かに説明することです。
言い換えると一から十まで言わないといけないタイプで、実際には一・二・三ではなく、1.1、1.2、1.3、1.4という具合に更に細かく説明しないと理解してもらえないことを覚悟しておくことです。