言葉の正しい使い方 ~誤解の少ない伝え方~

言葉の受け取り方、受け取られ方(言葉の感受性)が人によって異なることを表す例え話を考えてみます。
『Aはいいよ。』
という話を聞いた場合、この言葉からはAはOKです。
国語の教科書的にはAだけOKです。何故なら他のことは言及していないからです。

ただ言葉の感受性が高い人は、じゃあBは?、Cは?と考える人も出てくるのです。
同じカテゴリーで同様に選択肢になりえるBとCは駄目なの?と考えるのです。
逆に言葉の感受性の高い人が考えた上で話をしていると、(BとCもダメで)Aはいいよということを一言で表している場合もあるのです。

ここで『Aはいいよ。』という一言でも2通りの解釈があることがわかります。
他も検討された結果AはOKなのか、他が検討されていないけどAはOKなのか。
この言葉では言葉の感受性により受け取り方が異なるので誤解のもとです。
無意識のうちに言外の検討されたかされていないかを『Aはいいよ。』から感じ取ってしまう余地があるのです。
他の人に伝える際、勝手に情報を付け足してしまうことも考えられるのです。

  • 他も検討された結果Aはいいそうです。
  • 他はわかりませんがAはいいみたいです。

他が検討されていれば後で選択が変わる可能性は低いですが、他が検討されていなければ後で他の選択肢を検討すれば選択が変わる可能性もあります。実は他が検討されているかどうかというのは物事を決める上で重要な要素なのですが、あまり意識されていないようです。
伝言ゲームで少しずつ言葉がずれていくのは、記憶が曖昧ということと人によって受け取り方が違うことを表しているのだと思います。

私は言葉の揺れと表現しますが、言葉には曖昧さを秘めています。
『Aはいいよ』だけ見ても、曖昧さが内包されています。
日本の学校では、国語の授業で書いてあることだけが全てと習うため、言葉の揺れの違いが認識されにくいことが原因なのかもしれません。
実際には日常生活では問題にならないほどの曖昧さですが、何かを決める際にはその曖昧さが争いを招くこともあります。
いわゆる言葉による勘違いです。この勘違いの余地をなくすことが言葉の魔法の正しい使い方につながると思います。

私の言葉の使い方は
A・B・Cの選択肢があった場合。
『Aはいいよ』とした場合、B・Cの可能性はまだわからないけれどもとりあえずAはいいよという意味を内包しています。つまりAはOK、B・Cは保留という意味です。
既にB・Cを検討した上でAを選んだとすれば、
『Aがいいよ』と使い分けています。
この場合AはOK,B・CはNGです。

ただしこの使い方は相手次第で受け取ってもらえない可能性もあります。同じ言葉の使い方・感受性を持ち合わせていないと通じないのです。
そこで私の言葉の魔法の使い方は誤解のできるだけ少ない方法で伝えます。
『BとCはまだわからないけれども、Aはいいよ』
『BとCはダメだけど、Aはいいよ』
と誤解の余地をなくすように言葉の揺れの範囲を狭めるように話します。
ここで重要なことはA以外の選択肢を検討しているということです。その情報のあるなしで今後の展開の可能性がかなり変わるからです。

言葉とは情報のやり取りです。
相手にとって有用な情報を話すことができるのかどうかが重要となってきます。
これまでは相手にとって意味のあることを話すかどうかは問われていません。聞かれたことをこたえるだけでした。言葉の魔法の正しい使い方とは、その言葉の意味が何を目的にしているかを考えて話すことです。
そのことはまた改めて書いていきます。