人は過去に執着する傾向があります。変化を嫌うのです。新しいことをしようとすると必ずと言っていい程反対する人がいるのです。過去と同じことをしているといつも同じ結果が得られるはずという錯覚が元になっています。状況は絶えず変わりますし、現状が最善であるとは限りません。むしろ人間の考えたことですから、不完全な可能性が高いと考える方が妥当です。
人類の歴史から考えると過去に執着することは一定の意味がありました。人は食べるものすら決まっていません。全て自由な反面、知恵がなければ何を食べて良いかわからない不思議な生き物です。過去に食べて大丈夫だった物は、次に食べても大丈夫だろうという意味で過去にすがる面がありました。過去に食べてお腹を壊したら、次に食べてはいけない知恵として過去を活用するのです。つまり過去を知恵として使う必要はあるのですが、過去に執着して新しいことを拒絶するのは得策ではありません。何故なら過去には戻れないからです。そして周囲の環境は絶えず変化をしているのですから、その変化に対応するために必ず変わらなければならない時が来るからです。
人間関係でも過去に執着する考え方があります。あの人はこうしたから許せない。この人はあんなことをしたから信用してはいけない。確かに過去にしてしまったことは消せませんが、今後どのように生きるかが大切なことです。過去の人の行動の原因を考えても意味がありません。何故なら人の行動はその時その時のちょっとした気の持ちように左右されてしまうからです。人間関係においては目的論によって考えると過去に執着することなく、建設的な考え方をすることができます。
過去の上手な使い方は知恵として活用するだけです。これからの行動を制限する言い訳にしてはいけません。