腸内細菌と肥満と糖質依存の関係

腸内細菌とは人の腸内に生息している細菌のことです。無数の細菌が人のお腹の中にいるのです。非常に興味深いことに肥満のマウスの腸内細菌を肥満ではないマウスの腸内に移植すると、太り始めて肥満になるらしいのです。つまり腸内細菌の種類により太ってしまう可能性が示唆されます。ここまでは事実のようです。

腸内細菌と肥満の関係(仮説)

太る人と太らない人がいるのも腸内細菌の違いと考えれば、納得のいく部分があります。もしかしたら家族で肥満が多いのは、遺伝よりも腸内細菌を共有するからなのかもしれません。何より若い頃は痩せていても歳をとるに従って肥満の人が増えるのは、肥満を誘発する腸内細菌を獲得するからだと考えると遺伝よりも納得がいきます。何故なら遺伝で太るのであれば、肥満になる人は若い頃から肥満になるはずです。現実には肥満の人の割合が年齢と共に増加することが遺伝では説明がつきません。

年齢を重ねると共に肥満の人の割合が増えるのは、肥満を誘発する腸内細菌を獲得した人が増えると考えると説明がつきます。

少なくとも肥満を誘発する腸内細菌を獲得すると肥満になることは事実のようですが、肥満の人全てがその腸内細菌を獲得しているかどうかはまだわかりません。他の理由で太ることもあるのかもしれません。

ある種の腸内細菌が肥満の悪化因子ではなく根本原因であれば、肥満を引き起こす腸内細菌を駆除しなければ肥満は解消出来ないことになります。

肥満と糖質依存の関係

肥満の原因は糖質依存だと私は考えます。糖質依存は強い空腹感という禁断症状まである状態です。禁断症状である証拠に空腹感を我慢しているとピークをこえる感覚を経験します。空腹感が禁断症状でなければ、排尿・排便しないおさまらない尿意や便意と同様に、食べない限りおさまらないはずです。現実にピークをこえる感覚を経験することこそが禁断症状である証拠です。

糖質依存による糖質の過剰摂取により肥満を来すのだと思います。禁断症状により頻回に糖質摂取を繰り返します。糖質を少し食べると余計お腹が空くという不思議な感覚も糖質依存の一症状です。少し食べるとお腹いっぱいになるまで食べ続けてしまうことで太るのです。糖質依存により本来なら満腹と感じる量をこえて食べてしまいます(過剰摂取)。糖質回避をすることで糖質依存から抜け出すと、過剰摂取がなくなるため食べる量が減ります。このことが胃が小さくなったと感じる理由です。実際に胃が小さくなる訳ではなく、本来の胃の大きさで満腹だと感じるようになるだけです。

糖質回避をすることで糖質依存から抜け出すことができます。糖質依存から抜け出すと禁断症状である空腹感を余り感じなくなります。糖質依存を抜け出すと、空腹感を我慢しているとピークをこえた後に残る空腹感だけを感じるようになります。

糖質回避をすると痩せるのは、太る原因である糖質依存から抜け出すからです。そのため再び糖質依存に陥らなければ、リバウンドすることもありません。

腸内細菌を入れ替えなくても糖質回避を行うだけで肥満から抜け出すことができるので、腸内細菌が根本原因ではなさそうです。(糖質回避をすると肥満を来す腸内細菌がいなくなる可能性は完全には否定出来ませんが、現時点では可能性は低いと思います)

腸内細菌と糖質依存の関係

腸内細菌により肥満が引き起こされることから、腸内細菌により糖質依存が引き起こされる可能性が考えられます。

腸内細菌により糖質依存が引き起こされる機序として考えられるのは仮説の域を出ませんが2つ考えられます。一つは腸内細菌が糖質を生み出す可能性、もう一つは腸内細菌が脳を刺激する物質(依存を誘発する物質)を作り出す可能性です。

腸内細菌が糖質を生み出すとしても、他の生物では行われているので人間で起こっても不思議ではありません。腸内細菌が糖質を生み出す生物とは草を食べて生きることの出来る草食動物とシロアリです。本来なら人間には消化出来ない食物繊維から糖質を作り出すことの出来る腸内細菌が棲みつくことで、食物繊維から糖質を生み出すことが出来るとすれば辻褄が合います。血糖値が下がることで禁断症状を引き起こすことから、血糖値が上昇することで脳が依存状態に陥るのは間違いないでしょう。腸内細菌がこのような機序で糖質依存を引き起こしているのかもしれません。

腸内細菌が脳を刺激する物質を作り出すというのは、可能性を考えるだけで現時点では突拍子もない仮説だと思います。少なくともそのような細菌が存在するかどうかも知りません。もし腸内細菌が作り出す物質により人間の行動が変わるとすれば、腸内細菌に人間が操られていると言っても過言ではないでしょう。

現実的には上記の食物繊維から糖質を作り出す細菌によって糖質依存が誘発される説の方が可能性は高いと思います。腸内細菌により糖質依存が引き起こされるもすれば、人間が腸内細菌により操られているといえるのかもしれません。

もしかしたら肥満の人の腸内細菌が食物繊維を糖質に変えることがわかるかもしれません。真実は今後明らかにされていくでしょう。

投稿者:

呉からの風

呉の医師です。 糖質回避教の推奨者です。 様々な分野で気づいたことを掲載していきます。 怒る必要のない子育てを掲載予定です。