かつて情報は人々を支配するために使われました。
例えば暦を知る人が暦を知らない人々を支配していたという説があります。種蒔きの時期などの情報を知る知恵者が、何時種蒔きをすれば良いかわからない人々に教えることで支配していたのです。月食や日食の仕組みを知る知恵者は、自分が太陽や月を欠けさせたとして信憑性を高めるように仕向けたようです。
また文字も支配の道具とされました。西洋ではコミュニケーション手段として、話し言葉を文字に置き換え記録することに主眼が置かれました。話す音と同じだけアルファベットの文字数が必要となるデメリットはあるものの、音を単純に記号化したものだったので誰でも比較的簡単に習得することが出来ました。ちなみに英語で不規則な発音や不規則な変化があるのは、外国語をそのまま取り込んでしまったからだそうです。西洋では情報の伝達・共有が文字の目的だったので、誰もが習得しやすいものだったのです。
文字による支配
かつての中国では文字は一部の人が利用するものでした。支配する人達特権階級だけが扱う暗号のようなものだから簡単に読み解かれては困るのです。そのため漢字という多数の文字が生まれました。多数生まれた中で文字に意味があるため、文字に置き換えると情報を圧縮して伝えることが出来ます。
日本は中国から漢字を輸入し、なおかつ仮名を導入したことで表音文字と表意文字のいいとこ取りをすることが出来ました。文字にする際適度に圧縮することが出来ます。
話が少し逸れましたが、かつての中国では科挙という公務員試験制度がありました。法律を全て暗記することが前提の過酷な試験でした。その法律が文字で記されているので、文字が読める人にしか法律が読めないのです。法律は生きていく上でのルールですから、文字が読めないすなわち法律が読めない人は、法律を読める人に従うしかありませんでした。このようにして文字を扱うことの出来る人達が文字を扱うことの出来ない人達を支配していたのです。つまり法律という文字による情報により、情報を持っていない人達を支配していたのです。
幸い今は文字で支配するという目的がなくなったため、漢字も難解なものを減らしているようです。
これからの情報
多くの情報が誰にでも容易に手に入るようになったため、かつてのように情報で人々を支配するということは出来なくなりました。しかし逆に情報が溢れているだけに、必要な情報を探し出すことの出来る人が情報を上手く扱えない人達を支配する時代になるのかも知れません。
これから求められるスキルは、情報の扱い方だと思います。数ある情報の中から正しく、有益な情報を見抜くことの出来る人達がある意味支配者になるのではないかと思います。