日本の生産性は他の先進国と比較して高かったにも関わらず、最近では相対的に低迷しています。他の先進国では生産性が向上しいても日本の生産性は向上していないのです。その理由を考えてみます。一言で言えばサービス残業が最大の理由だと考えます。
サービス残業という愚
サービス残業とは残業しているにも関わらず、対価としての残業代が支払われない残業のことです。サービスといっても会社に対して従業員の方がサービスするという滅茶苦茶な理屈です。一見すると会社がタダで従業員を使うので会社が得をしているようにみえます。しかし実はサービス残業をさせるのは愚かなことです。何故なら結局会社が損をしているからです。その理由は本来の残業代が支払われる環境なら当然行われるはずの、労力の取捨選択することなく無駄な作業に時間を費やしてしまうからです。残業代が支払われるのであれば、生産性の低い労働は排除し、生産性の高い労働のみに労力を費やすはずです。わざわざ残業代を支払ってまで生産性の低い労働をさせる経営者はいません。
本当に必要な作業かどうか吟味する労力を惜しみ、無駄かもしれない生産性の低い作業を強いるのです。というよりも労働させる側の視点で考えると、サービス残業は生産性抜群です。何故なら実質人件費がゼロで労働が得られるからです。労働させる側からすれば、一見生産性は無限大になります。対価を支払うことなく労働の成果を搾取出来るからです。
労働者の視点からみると生産性はゼロです。どれだけ成果を出しても対価が支払われないからです。いわば強制されたボランティアです。自発的ではない強制ボランティアなのですから、積極的に急いで働くことはありません。仕事を早く終わらせると次の仕事を与えられる可能性が高いので、むしろゆっくり働きます。
サービス残業では労働することで対価を得るという目的を失っているため、労働する意欲がわかないのです。人間の心理としてどれだけ働いても報酬が支払われなければ、出来る限り手を抜こうとしてしまうのです。つまりダラダラ働くことになるのです。サービス残業を続ける限り日本の生産性が高まることはなさそうです。ただ日本の生産性が高くならないのはサービス残業だけが問題ではありません。実はサービス残業だけではなく、残業そのものが問題だと私は思います。残業の問題は次の機会で改めて書いてみようと思います。