資本主義と社会主義という考え方があります。社会主義市場経済という折衷案のような主義もありますが、本質は資本主義です。都合によって資本主義と社会主義を使い分けるので、いいとこ取りという理解にしておきましょう。
基本的な考え方は競争によって淘汰される資本主義と、競争を排除する社会主義とにわかれます。資本主義の方が社会主義よりも優れていることは歴史的に見て議論の余地はないでしょう。今回はその理由を考えてみました。
資本主義と社会主義の違いを一言で言えば競争の有無です。資本主義の方が優れていることから競争する方が優れているということのようです。
その理由を考えてみると単純でした。何億年もの時間、生物同士で競争した結果生き残ることが出来たのが人類です。だからこそ競争するのが当たり前で、生き残るために頑張るのです。そもそも生物は競争しないことを想定していません。 当然人間も競争するのが当たり前なのです。人間だけが想像力を働かせることで競争のない世界を想像し、一部の人達が実現を試みたのですが残念ながらうまくいきませんでした。人間だけが何億年もの進化の歴史を覆すとが出来ると考える方が不自然なようです。
自然界では生存競争のない環境はあり得ません。食べるか食べられるかで成り立っているからです。生物が競争無く生き残ることが出来るとすれば、人間が考え出した極限られた環境において成し得るだけでしょう。つまり生物からすればよほど知恵のある生き物(この場合人間です)が知恵を絞ることで初めて、競争のない環境が実現できます。競争のない環境は極限られた数の生物だけで隔離された場合に一時的に実現できるに過ぎません。しばらく時間が経てば生物の数が増えてしまい、競争が始まります。
人間社会においては、2人の人間が競争無く生き残ることを想像するだけでも困難です。ましてや全ての人間が競争無く生き残ることが出来る環境は実現出来そうにはありません。誰も不満を抱くことのない競争のない世の中は、恐らく人類の知恵では実現出来ないでしょう。例えば2人だけ人間がいる状態で食べ物は1人分しかない場合、通常は食べ物の争奪戦という競争になるでしょう。1人分の食べ物を2人で仲良く分けて食べることは想像しにくいと思います。
資本主義は自然界と似ている
資本主義が有利なのは自然界における自然淘汰に似た仕組みだからです。自然界では突然変異による多様性が、資本主義では様々な経済活動に相当します。自然界では多様性の中から自然淘汰という容赦ない選択により生き残ることの出来るものが選別されます。資本主義では様々な経済活動の中から市場経済という容赦ない選択により、優れたものだけが経済活動を続けることが出来るという意味で生き残ることが出来ます。自然界と資本主義の違いは、自然界では突然変異という偶然の産物ですが、資本主義では経営者の知恵により多様性が生み出されることです。
資本主義も劣るものを淘汰する仕組みが備わっています。私達人類は何億年も生き抜いた自然界も同じです。私達人類には何億年もの進化の歴史を生き抜いた証として競争が身についているのです。だからこそ人間には資本主義、競争が必要なのです。
人間における競争の利点
学校では競争を避けるように指導することもあるようですが、進化の歴史から考えると、教育の本来の目的を取り違えて迷走しているように思います。
多くの人は競わなければ最善を尽くすことは出来ません。だから競争するのです。スポーツにおいても試合をするから頑張ることが出来るのです。スポーツの本来の目的は最善を尽くすことです(参考:スポーツなどで順番を競う理由)。勝敗は結果に過ぎません。
人間本来の力を出し切るために競うのです。競うためにトレーニングという準備をし、全力を出し切る競争に備えるのです。トレーニング自体も本来の力を出し切るためです。
人に負けたくないという心理が原動力となって辛いトレーニングも頑張ることが出来るのです。もし無人島に1人でいれば、競う必要はないため辛いトレーニングをしたりはしないでしょう。