話し方において検討から話せと言われることが良くあります。特に時間が差し迫っているビジネスの場面では結論から話すことが求められます。しかし結論から話すと言う話し方に慣れていないため、具体的にどのように話したらいいのかよくわからない人が多いようです。そこで具体的に結論から話す話し方を提案してみたいと思います。
話す内容の件名(タイトル)を伝える
一言で言えばメールの件名のように、今から話すことの件名(タイトル)をまず伝えて話し始めることを提案します。件名が結論・これから話す内容の本質だからです。
話の内容の結論と言われても結論と言う視点で物事を考えていないため見つけられないのです。そこでメールの件名タイトルをつけるように、話す内容を一言でまとめてみるのです。メールであればなんとタイトルをつけるのかと言うように、まず話す内容を一文でまとめるのです。
件名(タイトル)の付け方
相手に伝わる範囲内で最も詳しく説明するべきです。言い換えると相手に伝わるキーワードに凝縮するという意味です。事前に話し合っている内容であれば、最初から詳しい件名で構いません。初めて話し合う内容であれば、相手に分かる漠然とした範囲から絞り込むべきです。
ポイントは相手に何の話をしているのか即座に理解してもらえるように伝えることです。初めて話す内容をいきなり細かな枝葉から伝えてもなかなか伝わりませんし、話の詰めの最終段階で大雑把な幹の話をしても時間の無駄です。そこで相手に伝わるキーワードで、相手に即座に何に対することかイメージしてもらうのです。
例えば9/18にお互い会うことが決まっていれば、
9/18の面会の日時の変更のお願いです。
という具合に9/18という日付と、面会という2つのキーワードで何に対する話題か即座に伝えることが出来ます。上記の一文の結論は「お願い」です。その「お願い」が何に対する「お願い」なのかを絞り込んでいるに過ぎません。
別の例えであれば9/18でも最悪構わないが、出来れば別の日に変更してもらえないかという場合
9/18の面会の日時の変更のご相談です。
とすると、都合によっては9/18で構わないが、変更出来るか相手の都合を伺う目的が伝わるのです。
話を戻して名刺交換したのみでほぼ初対面に近い状態で、これから面会の約束を取り付けるのであれば、
〇〇の件で面会のお願いです。
何について話をするのか先に情報を提供するのです。相手が興味のない内容を押し売りしても意味がないからです。要件を伝えることなく、何とか相手に会うこと目指す営業マンがいますが、実は営業マンではありません。会って相手を話術によって説得する説得マンなのです。
他の例えであれば、以前話した食事に関することの疑問について話そうとすれば、
糖質の食べ方について質問です。
という具合に、食事の中でも具体的に何についての疑問があり、その疑問の解消を目的に質問したいことを伝えるのです。
何故結論から話すのか?
結論から話せという人も、何故結論から話すように求めてしまうのか理解できていない人もおられます。しかも具体的な結論から話す方法を説明出来ないので空回りしているのです。
何故結論から話すのかという質問に対する答えは、結論から話す方が情報を早く伝えることが出来るからです。日本語の仕組みが、最後の語尾で意味を反対に出来るから、最後まで聞かなければ流れがどちらに転ぶかわからないのです。賛成なのか反対なのか最後までわからないからイライラするのです。だから賛成、反対を先に表明しろというのです。
日本語は日本人によって培われた言語です。多くの日本人は日本国内において大して移動することもなく、長年にわたり同じ地で周囲と和をもって仲良くしていました。喧嘩や諍いがあっても隣人が変わらないし変えられないため、出来るだけ最初から喧嘩や諍いを避ける知恵が蓄積されたのです。だからこそ話をしている最中に相手の顔色により、話す内容を変化させるのです。
私は反対だけど、話をしているうちに相手の顔色が怒りに変わってきたので、渋々賛成にしておこう。その場の空気を読むという言い方で表現される妥協をするのです。
和することを目的に言語が発達したため、素早い情報伝達には不向きな言語になってしまったのです。その解決策が「結論から話す」なのです。ただ「結論から話す」目的と具体的な方法を提案しないので、言われた側は意味がわからないのです。
ちなみに英語を社内公用語にしようとする企業もありますが、英語は誰が何をするという内容が明確だからです。最初から賛成か反対かわかるから自然と結論から話す仕組みになっているのです。英語が母国語の人達を相手に商売するのであれば、社内公用語を英語にする意味がありますが、日本語の会話の仕組みを嫌って英語を使うのは勿体無いと思います。何故なら日本語の使い方を工夫する方が、わざわざ英語を習得するより遥かに簡単だからです。
会話にも件名(タイトル)を
メールを送る場合、文章を打ち込む際に時間をかけて件名(タイトル)を考える余裕があります。会話をはじめる際にも、まず話す内容を一文にまとめる作業、つまり会話にも件名(タイトル)をつける話し方を提案します。
私は素早く情報伝達する日本語の話し方を多くの人が身につけると良いと考えています。
件名(タイトル)の具体例
他にもあるかもしれませんが、多くの場合はこれらに分類出来ると思います。
件名(タイトル)を伝える目的
件名(タイトル)を伝える目的は、相手にこれから話す内容をイメージしてもらうことです。更に相手に聞く気があるか聞く気がないか、あるいは今話す内容かどうか判断してもらうことが出来るのです。その気が全くないにも関わらず話をしてもお互いの時間の無駄ですし、他に差し迫ったことがあれば今話す必要がないか判断できるからです。
話すことに慣れた相手であれば、話す内容の要点を飛ばし飛ばし情報伝達することで事足ります。質問と先に表明していれば、答えが素早くかえってくるのです。報告と先に表明すれば、後で聞くと言われるかもしれません。もしかしたら報告と先に表明していれば、大丈夫だった?と聞かれ、大丈夫と答えれば、OKの返事で情報伝達・報告は終わりに出来るでしょう。
もし良かったら会話にもメールの件名(タイトル)のように、件名(タイトル)先に付けてから話し始めてみてください。単位時間当たりの情報伝達出来る内容が格段に増えるはずです。