定年後再雇用で同一賃金の判決

定年後再雇用で同一労働であれば同一賃金することを求める判決が出たようです。

定年後の再雇用では賃金が下がることが多いようです。企業は安い賃金で雇用することが出来るので利益が見込めます。実は再雇用してもらうことで賃金が下がっても、他の企業への再就職よりも賃金が高いため労働者としてもメリットがあったのです。

今回の判決で今後様々な変化が起こると思います。再雇用しても同一労働同一賃金を保つ必要があることになりそうです。まだ過渡期なので考え方は色々あるとは思いますが、方向は2つあると思います。1つは再雇用しても同一労働にならないように、少しだけでも労働内容を変えることで賃金を下げようとすることです。もう1つは再雇用前に前もって賃金を下げてしまうことです。過渡期なので年代によって多少の損得があると思いますが、企業はトータルの賃金が上がることは避けると思います。何故なら労働力が変わる訳では無いからです。再雇用される人の賃金が上がれば、誰かの賃金が下がるしか無いのです。

同一労働同一賃金という考え方であって、企業の裁量で決めることの出来る賃金を下げてはいけない訳ではないため、抜け道を探すだけのことでしょう。そもそも労働力をコストという考え方をしているため、少しでも安くしようと考えるのでしょう。もし労働力を人を財産と考える人財という考え方であれば、無理に下げようとはしないはずです。会社の対応により社員に対する考え方がわかると思います。残念ながら多くの企業は賃金を少しでも下げようと考えているので、そのことを改めて実感することになるでしょう。

いずれにしてもトータルの賃金はそれ程変わりはしないだろうということです。どこかにしわ寄せがきてしまいます。新たに嫌な思いをする人が出てしまうでしょう。具体的には再雇用に備えて定年前から賃金を下げられる人達が出てくることでしょう。全ての事柄を考えて制度設計をするべき時なのかもしれません。

この判決を再雇用される立場の人達は喜んだかもしれませんが、実は大変な問題を巻き起こす可能性を秘めています。みんなが嫌な思いをしなくて済む制度設計ができるといいですね。

投稿者:

呉からの風

呉の医師です。 糖質回避教の推奨者です。 様々な分野で気づいたことを掲載していきます。 怒る必要のない子育てを掲載予定です。