理性と衝動のせめぎ合い

人には理性と衝動の両方が備わっています。理性は人間的で衝動は動物的と言えるかもしれません。人が短時間で心変わりする理由は衝動で決めたことが、理性で冷静に振り返ると判断が間違いだったと気付くことに由来するようです。

理性

理性とは物事を論理的に考え損か得かで判断することです。いくらやりたいことや欲しいものであっても、法律上の問題や誰かが嫌な思いをするなどの倫理的な問題などを考えて踏み止まることが出来るのは理性のおかげです。やりたいことである衝動を抑えるブレーキのようなものといえるかも知れません。
冷静に後あとのことまで考えて損か得かを判断できるのは理性のおかげです。
この理性のおかげで人類は発展することができました。

また理性が働くので人はお互い嫌な思いをすることなく生活することができます。
人間が多くの人と社会生活を送ることができるのも理性のおかげなのでです。

衝動

衝動とは人を突き動かす様々な欲求の源です。人はこの衝動がなければ何も行動をしたいとは思いません。事実欲求を生み出す脳の部位を損傷してしまうと、無気力になってしまうそうです。衝動はやる気や欲求を起こすアクセルのようなものです。
今では衝動が様々な欲求を生み出してしまうので理性で抑えるのが大変で厄介者のような印象ですが、この衝動のおかげで太古の昔の食糧難の時代を乗り切ることができたのです。

衝動買いの心理

衝動には実は問題があります。脳が自分自身を騙すようにドーパミンを大量に放出するため欲求を増大させてしまうのです。本来のやりたさよりも遥かに大きな欲求として脳が感じてしまうのです。太古の昔にはこの欲求の増大が生き残りには大変役に立ちました。食べ物を見つけたものの手に入れるには危険を伴います。その危険と食べ物の手に入れたさを比べるのが理性です。この理性だけだと安全を優先して食べ物を手に入れることができません。食料の確保が難しい時代にはこれでは飢え死にしてしまいます。そこで脳は自分自身を騙す方法を手に入れたのです。食べ物を実際より以上に魅力的に見せるのです。理性で考えるとやめておくことでも、脳が自分自身を騙すことで衝動を生み出し、理性に打ち勝ち食べ物を手に入れる行動に仕向けるのです。
太古の昔には食料を手に入れるために必要な脳の能力でしたが、その名残として残っているのが衝動買いの心理状態です。

人間には理性が備わったのでなかなか行動しないため、一度欲しいものがあるこ衝動のスイッチを入れて何とかして手に入れたほうが生存競争に有利だった名残が、衝動買いの心理として残っているのです。
衝動買いをする人は何度でも衝動買いを行いますし、理性的な人は衝動買いをほとんどすることがありません。

依存の心理

様々なことで喜びを得ることができるように脳は設計されています。
その喜びを何度も繰り返し得ようとすると危険信号です。
喜びに慣れてしまって、欲求が増大するようになると依存状態になっているのかもしれません。
衝動買いの心理を繰り返して、欲求が増大するのが依存と言い換えても良いのかもしれません。

食糧難の時代には役立った衝動も、魅力にあふれる現代では抑えるのが大変です。
理性を身に着け上手に衝動と付き合うことが大切なようです。

人が短時間で心変わりする理由

人が短時間で心変わりするには理由があります。

判断する際に良く考えたつもりでも、少し時間を置いて考えると熱が冷めたような印象になることが良くあります。

脳の科学から考えると仕方がないことのようです。

脳はやりたいとか欲しいという欲求はドーパミンを元に作り出されます。このドーパミンという物質が厄介で、どうしても欲しい・やりたいと必要以上に錯覚させる働きがあります。通常よりも多量に分泌されることで手に入れなくてはいけない、やらない訳にはいかないという気持ちにさせてしまいます。良く言えば悩んでいる背中を押してくれるような印象ですが、実は冷静な判断力を奪っているのです。

本来欲しいとかやりたい欲求と、過剰なドーパミンによる欲求が乖離してしまいます。その結果やることになったとしても後で冷静に考えると後悔することに繋がるのです。

実は衝動買いはこのような理由で起こります。ドーパミンの作り出した幻の魅力で買うことに決めたものの、本来の魅力とのギャップで後で後悔することに繋がるのです。

衝動買いした後で後悔するのと同じようなもので、ドーパミンによる錯覚がなくなることで心変わりをしてしまうのです。実際には心変わりする訳ではなく、本来の選択をするだけなのかも知れません。

人が短時間で心変わりする対策

ドーパミンの作り出した幻、ドーパミンの錯覚は10分程度だそうです。15分してから確認すると決心は本物かも知れません。