以前は情報を集める前にするべきこととして書いてみましたが、今回は情報の取り扱い方について考えてみます。
情報の取り扱い方は情報を集める前に考えるべきことです。多くの場合、取り扱い方を考えることなく情報を集めてしまうので、情報に振り回されてしまうのです。情報の取り扱い方とは判断の基準を前もって考えるあるいは確認することです。
例えば血液検査は検査をする前に、結果により何がわかるのかを考えてから検査をする必要があるのです。私が耳にするのは、結果が出たけれど取り扱い方がわからなくて困っているという声です。特にアレルギーの検査で良く聞きます。本来なら検査をした医者が取り扱い方をキチンと説明するべきことです。その検査結果を判断するお金をもらっているのですから説明して当然です。しかし検査結果を渡すだけで解釈の仕方を説明していないのです。そして検査を受ける患者さんも、検査結果という情報を得ることで、結果次第でどのように取り扱うべきかを前もって知る方が良いと思います。避けることの難しいアレルギーであれば、検査をして結果がわかっても行動は変わりません。スギの花粉に対するアレルギーだとわかることで、行動が変わらなければ意味がありません。知的好奇心と医者の財布が満たされるだけのことです。スギ花粉のアレルギー検査で意味があるのは、結果によりスギの花粉を避けるために引っ越すか減感作療法を行うなどの対策を取るかどうかの判断をする場合です。引っ越しや減感作療法の判断以外では役に立ちません。行動に結びつかない情報に意味はありません。つまり検査を受ける意味はありません。スギの花粉症があるから気をつけましょうというだけです。スギの花粉が飛ぶ時期に症状があれば気をつけることと何か行動が変わるのかを考えてみてください。恐らく大して変わらないでしょう。血液検査結果で明らかなら、スギの花粉予報で対策することに自信が持てる程度でしょう。これはわざわざ検査をしなくても、スギの花粉予報と自分の症状の相関を自分で見極めればわかることです。ちなみに糖質回避をすれば血液検査などしなくてもスギの花粉症は治るので、そもそも治す手助けにならない検査の意味はありません。
他の例えでは、経営判断の際集まった情報から取り扱い方を検討することもあるようです。情報の取り扱い方に躊躇いがあり経営が右往左往することもあるようです。私なら情報を集める前に、情報の取り扱い方を具体的に決めてから情報を集めます。ワンマン社長の決断が早くブレが無いのは、こと情報の取り扱い方を理解して行動しているからです。必要な情報だけを集めて無駄な情報には見向きもしないので素早く決断できるのです。しかしワンマン社長が後継者に悩むことが多いのは、こよ経営判断を上手く他人に伝えることが出来ないのです。判断のプロセスが明確にあるのですが、他人に判断のプロセスを説明出来る程には自分自身理解しきれてはいないため後継者に上手く伝えることが出来ず一代で終わることが多いのです。経営を話し合いで決める場合、情報の取り扱い方を吟味しないまま情報を集めるため、無駄な情報も混在した状態となります。集まった情報から取り扱い方を検討するので、無駄な情報と有益な情報の混在が議論を複雑にしてしまいます。議論が無駄な情報と有益な情報の吟味から始まり、無駄な情報を有益だと考える経営陣がいると議論は迷走し、永遠に正解にはたどり着けなくなってしまいます。もしかしたら日本の会社の低迷の原因の一つは情報を集めてから取り扱い方を考えているからかもしれません。逆に経営が好調な会社は情報の取り扱い方を先に決めてから情報を集めているから、経営に無駄がないのかもしれません。
情報は取り扱い方をまず明文化出来る程考えてから、集めるようにしましょう。取り扱い方を明文化出来ないまま情報を集めると、情報の解釈の仕方がわからず混乱する元になるからです。情報の取り扱い方がわからなければ、知らない方がましなのかもしれません。知らぬが仏という考え方です。