患者さんを怒る医者の心理は以前書きましたが、今回はスタッフを怒る医者の心理を書いてみたいと思います。
他人を怒るのは相手に何らかの落ち度があるからだとは思います。相手に落ち度がないのに怒るのは病気なのかもしれません。ただ相手に落ち度があるという前提条件に問題があります。何故なら通常人が他人を怒る時に人に意見を聞いたりしないからです。一般的な思い込みで怒っているだけのことも多々あります。その思い込みが激しい人は、病気との区別が付きにくくなってしまいます。
スタッフを怒る医者の心理には、少なくともスタッフに落ち度があると思い込んでいるという前提があります。もしかしたら勘違いで怒っているだけかもしれません。怒ることに意味がない(参考:怒るのは幼稚な証拠)ことに気づいた私としては、相手に落ち度を理解させる言葉を選ぶことが出来ないから怒りで相手を支配しようとしているだけに思えます。
怒る場面にもよりますが、怒る医者に不謹慎狩りの心理が働いているのかもしれません。医学的あるいは常識的に怒る医者の方が正しいとしても、わざわざ怒る必要はないはずです。怒られた相手は怒られたことで萎縮してしまい、ミスをするかもしれないのですから百害あって一利なしです。怒らなくても相手に間違いを伝える手段はいくらでもあるはずです。その間違いを伝えることをせずに怒るのですから、怒られた相手はたまったものではありません。医者の怒る剣幕が余りに激しいと怒っている理由を聞くことも出来ません。
怒っている医者は、相手も知っていて当然だと思い込んでいるため怒るのでしょう。ただ相手が知らないことを怒っても意味がありません。何故なら知らないからです。先に知っている人がまだ知らない人に教えるのは当たり前です。相手を怒るのではなく、相手が知らないことを理解し、伝えてあげるようにするだけでお互い嫌な思いをすることなくスムーズに仕事が出来るようになるはずです。
怒っても言い返されないと自分が正しいから言い返されないと誤解を強めます。だから自分は怒っても許されていると錯覚してしまうのです。相手が言い返すと余計に火に油を注ぐことになると嫌だから言い返さないということに思い至らないのです。
対策
私なら怒っている人に何を怒っているのか聞くことは出来ますが(怒っている人は犬が吠えていることと変わらないと思っていることと、相手が期待していることを客観視できるからです)、普通は怒られた本人が怒っている人に直接怒っている理由を聞くことは難しいでしょう。何故ならそんなこともわからないのか!!と日に油を注ぐことになり、余計怒らせてしまうことになるからです。
対策は第三者が何を怒っているのか客観的に聞くことです。相手に何を知っていることや行動を期待して怒っているのか聞き出すのです。もしどうしても第三者に聞いてもらうことが難しければ、後日怒りがおさまってから聞き出すことをお勧めします。
そして怒ることは幼稚なことだと第三者から怒る医者に教えてあげましょう。怒っても犬が吠えているのと大して変わりません。何故なら人が怒る場合、自分では怒って当たり前だと思っているから、怒っている理由を説明したりしないからです。つまり起こることで伝わるのは、起こっているという感情だけです。だから犬が吠えているのと大して変わらないのです。怒っている内容を客観的に相手に伝えなければ、解決には至らないことを教えてあげるだけでいいのです。
確かに患者さんの命に関わる間違いなどをしてしまった場合には、怒る場面もあるのかもしれません。しかし間違いをし得るシステムが根本的な原因です。例えば間違えて点滴を他の人にしてしまったなどです。予防策は2人で確認する場合や、バーコードで機械でチェックするなどの対策で間違えられない仕組みを取り入れています。
スタッフを怒るのではなく、どうすれば患者の命を危険にさらさない仕組みを作ることが出来るか建設的に話し合えば良いことです。多くの病院ではヒヤリハットという最悪の場合医療事故に繋がりかねない事例から、根本的な対策をすることで事故を起こさない仕組み作りをしています。だからこそスタッフを怒る医者は勘違いした時代遅れな存在です。患者さんを怒る医者は淘汰される時代がもうすぐやってきますが、スタッフを怒る医者も淘汰される時代がやってくるでしょう。全ての医者が人を怒るのは幼稚なことだと早く気付いてくれるといいですね。