様々な病気で様々な症状が現れます。病院は出来れば行きたくはありませんから、ついつい我慢してしまいます。そこで病院に行く受診のタイミングを考えてみます。
腹痛や喉の痛み、咳、発熱など様々な症状があります。原因となる様々な病気がありますから、病院に行くタイミングの判断に迷うことも良くあると思います。
何か症状があってもすぐ治るかも知れませんので、ついつい様子をみてしまいます。様子をみていて症状がドンドン悪くなれば、恐らくそのまま悪くなり続けます。何故なら治療もしていませんから良くなる理由がありません。万が一良くなるとすれば、自分の免疫機能が急速に高まり治してしまう場合(同じウイルスや細菌感染であれば二度目は覚えているので早い段階で治ることもあり得ます)です。
様子をみていて、悪くなれば、そのまま悪くなり続ける可能性が高いと思います。もし悪くなるのが止まれば、その後は改善に向かうかも知れません。少なくとも悪くなっている最中に突然良くなることはありません。一旦変わらなくなってそれ以上悪くならなくなってから、次に良くなっていきます。
イメージとしては症状が悪くなるのが下り坂、良くなるのが上り坂です。悪くなっていれば悪くなり続けます。下り坂を下っていれば下り続けます。一旦平らになって、上りはじめるのです。
ちょうど下り坂のイメージと同じで悪くなる程度・速さも加速してドンドン悪くなります。感染症であれば免疫力が必死でブレーキをかけるので、MERSなどのように体がはじめて遭遇する特殊なウイルスでなければ、坂道を転がり落ちるように悪くなることは非常に稀です。逆に感染症で一気に悪くなるのは、免疫力が全く対応出来ていないことを表します。
医師の立場からすれば、治療は早ければ早いに越したことはありません。患者さんの立場からすれば病院に行かなくても治るなら出来れば行きたくはないので、仕方がなくなるまで病院には行かれないと思います。
病院に行く受診のタイミング
医師は出来るだけ早く、患者さんは出来るだけ遅くの受診を希望します。その折り合いのつくタイミングを考えてみたいと思います。
病気・症状により増悪加減(悪くなる速さ)は異なります。数ヶ月で悪くなるAGA(男性型脱毛症)の薄毛から、数日間で増悪する腹痛や喉の痛みや体の痒み、数時間で増悪する腹痛や呼吸困難など様々です。
まず命に関わる急速な症状の進行(進み具合)の場合を考えてみます。お腹の痛みや息苦しさを感じたとします。すぐに良くなるだろうと気楽に考えていましたが、10分で痛み息苦しさが増しています。それでも病院に行くのが怖いので出来れば避けようとします。次の10分で更に痛み息苦しさが増しました。どう考えれば良いでしょうか?
- 次の10分で良くなるかもしれないからこのまま様子をみる
- 次の10分は悪くならないかもしれないのでこのまま様子をみる
- 更に悪くなる可能性が非常に高いので病院に行く
正解は3.です。
様子をみても良くなる可能性は非常に低いので、我慢出来て動けるうちに、出来るだけ早く病院に行きましょう。少なくとも覚悟を決めて病院にいく準備を始めましょう。
時間毎の経過から想像する
腹痛や咽頭痛など数日間で増悪する場合には前日の様子と比べてみると良いと思います。前日より悪くなれば恐らく明日は更に悪くなります。前日と変わらなければ明日も同じか良くなる可能性が高いと思います。前日より良くなっていれば、翌日は良くなると思います。
前日より悪くなっていれば、今日か明日病院に行くことを考えましょう。まだ程度が軽くまだ大丈夫だと思ったとしても、明日も悪くなっていれば、明後日は更に増悪することを知っておくべきです。そして早く治療すれば早く治療する程早く治るからお得だということも知っておくと良いと思います。
遅くなれば遅くなるほど治るのに必要な時間は余計にかかります。薬もその分余計にかかります。時間もお金もかかるので損してしまいます。損しなくてすむように出来るだけ早く受診するタイミングを見計らいましょう。
火事に例えてみる
病気の症状を火事に例えてみます。
火がついて燃えています。周りに少しずつ燃え広がっています。でも消防車を呼ぶのは躊躇ってしまいます。
そのまま様子をみていると当然燃え広がりました。それでも火が消えるかもしれないので消防車を呼ばず様子をみています。バケツで水をかけることを思いつきました。火は広がっています。それでも消防車を読んで大事にはしたくありません。
その後も燃え広がり、近所の人に勧められて消防車に通報しましたが、間に合わず全焼してしまいました。
実際には火事はすぐに燃え広がることが常識で、早ければ早い程小さくてすむことをみんな知っていると思います。だから燃え広がる時点で躊躇わず消防車を呼ぶと思います。
病気も連鎖反応
実は病気の症状も同じです。火事だと早ければ早い程消火が有効なのは常識ですが、病気の症状も同じなのですが余り知られていないようです。国が学校で教えても良いのではないかと思います。
火事の拡がり方と病気の悪化の仕方が似ているのは、連鎖反応で悪化する点が似ているからです。火が周りのものを燃やして拡がるように、病気の原因は次々周りに拡がります。
症状は増悪すれば増悪し続け、改善しはじめれば改善し続けます。しかも火事が連鎖反応で燃え広がるように、症状の増悪も連鎖反応で一気に悪くなります。このことが知れ渡っていないため、ついつい我慢してしまう人が多いようです。
増悪し続けていれば加速して増悪する可能性が高いのです。早めの受診がオススメですし、お得だと思います。
症状が改善していれば
逆に症状が改善していれば、翌日は更に改善する可能性が高いので無理に受診する必要はないかも知れません。それまで我慢出来たのですから、改善しはじめればそのまま様子をみてみましょう。良くなり始めても受診される方は病気を治すことが目的ではなく、不安を取り去ることが目的で受診される傾向があると思います。