バス会社や旅行会社が企画するバス旅行などはあるものの、最近では社員旅行や団体旅行が減っています。ふとその理由に気付いたので書いてみます。
旅行は娯楽
かつてはテレビや映画など娯楽が少なかったため、旅行は恰好の娯楽でした。しかし旅行を計画・企画するのは大変なため、会社ぐるみで企画したり、団体で企画したりしていました。誰かが企画してくれさえすれば、他に大してすることもないので旅行に参加していました。また娯楽の1つであるお酒を飲む口実にもなりました。
かつて旅行の計画が大変だったのは、自分で宿泊施設に連絡し、交通機関の手配が必要でした。旅行をしようと思うと情報を集めること自体が大変でした。旅行代理店がその役割をしてくれるようになりましたが、旅行代理店が手間を省いてくれる分割高になりました。バブル時代など景気の良かった時には割高な旅行でもみんなが喜んで参加していました。この頃からインターネットが広がりはじめ、情報収集が容易になりはじめました。
企画してくれる人がいたので個人で旅行を企画する煩わしさがありませんし、他に大した娯楽がないこともあり、喜んで参加していたのです。個人で旅行するよりは割安で旅行出来るのでお得でした。
社員旅行・団体旅行の目的
上記の娯楽という側面と、社員旅行・団体旅行の目的の1つはいつも一緒にいる職場や団体のお互いを良く知ることでした。日頃の話題を増やすこと、つまり親睦を深めることを目的の1つとしていました。
娯楽の多様化
技術の進歩、インターネットのおかげで様々な娯楽が生まれました。しかもお金のかからない娯楽も多く生まれました。娯楽の多様化によりわざわざ社員旅行・団体旅行という形で娯楽を消費する必要がなくなりました。
またインターネットのおかげで情報が広まったこともあり、個人の好みの旅先も多様化してしまいました。これまでは全国的に知られた観光地に行くのが自然でしたが、今では個人個人が好みにより穴場とも言えるような場所に行くことも稀ではなくなりました。
実は娯楽だけでなく、旅先も多様化したので、社員旅行や団体旅行を企画しても賛同してもらいにくくなってしまったのです。結果としてせっかく企画しても参加人数が集まらないことになるのです。
旅先で初めて見るものでも、今ではテレビで見たもこを追体験するようになりました。見たことないものを見るのと比較すると、テレビとはいえ見たことのあるものを直接みても感動が薄まっているのかもしれません。
人間関係の多様化
親睦を深めるという意味でも、休みの日まで一緒にいたくないという思いが参加を遠ざけるようになりました。SNSなどにより仲の良い人同士でつながることが出来るので、わざわざ職場や団体の人同士がお互いを良く知る必要がなくなってきているのです。
少し前までは友達とコミュニケーションを取ろうと思えば、わざわざ会うか電話をするしかありませんでした。お互いの時間を合わせる必要があったため、毎日という訳にはいきませんでした。生活時間が元々揃っている職場の人や同じ団体の人同士とコミュニケーションを取ることが多かったのです。そのため旅行というのはコミュニケーションする話題を深める格好の話題作り・コンテンツだったのです。
今ではSNSで学生時代の友人達と毎日好きな時間にコミュニケーションが取れるので、無理に職場や団体の人とコミュニケーションを取る必要がなくなりました。というよりもむしろSNSに時間を割きたいので、職場や団体の人との日頃のコミュニケーションすら無駄だと思うようになりました。だから飲み会なども参加しなくなりつつあるのです。飲み会すら参加したくないので旅行には絶対行かないのです。
旅行の企画が簡単になった
以前は旅行の企画そのものが大変だったため、誰かが計画してくれた企画に参加するのがお手軽でお得な旅行でした。自分で企画するのが大変だったからです。
今ではインターネットのおかげで、宿泊施設の値段や設備はもちろん情報空き状況を探すのも容易で、そのまま宿泊予約まで出来ます。交通機関もインターネットで予約・購入出来るため、家にいながら簡単に旅行を企画することが出来ます。急な予定変更も個人単位なので簡単です。突然のキャンセルということになったとしても、キャンセル料を支払うことで貸借りなしです。社員旅行や団体旅行では他人に迷惑がかかるということを気にしなければなりません。
これからの旅行
テレビやインターネット、ブログやSNSで写真や動画を見ることで満足してわざわざ旅行をしない人も増えるでしょう。
逆にブログやSNSでその地に行ってみたいという人もいるかもしれません。ブログやSNSにアップするために旅行する人もいるかもしれません。
いずれにしても、今以上に旅行に関して多様化するということです。社員旅行や団体旅行が増えることは残念ながらないでしょう。
これからは自分の目的にあった旅行を自分で企画するのが当たり前の時代になるとおもいます。
ということは生き残ることの出来る宿泊施設は限られてしまうでしょう。