花粉症の患者さんにご協力頂いて血糖値持続測定器リブレを装着してもらいました。正確にはリブレProを装着して頂きました。詳細な解析は行なっておりませんが、簡易結果を掲載します。
まず結果は血糖値が正常型でほぼ150以下で推移していましたが、花粉症の症状は悪化してしまうことがわかりました。必ずしも血糖値が上昇する訳ではないのとがわかりました。ということは私が考えた仮説、糖化産物が原因という可能性はかなり低くなることがわかります。血糖値が上がらなくても糖化産物が影響している可能性は残りますが、他の可能性を考えるようになりました。一時的高血糖症候群という疾患概念も間違っていることがわかりました。糖質一度に食べ過ぎ症候群が適切な概念のようです。
少なくとも私の場合には血糖値の上がりやすい食べ方があります。私の血糖値が上がるのと同じ食べ方を他の方がされると、アトピーや花粉症が悪化するようです。ということは糖質が関係あることは間違いありませんが、患者さんの血糖値の推移からは血糖値そのものが原因ではなさそうです。
恐らく体内に分泌されたインスリンが犯人のようです。仮説としてインスリン原因説を考えました。改めて詳しく書きたいと思いますが、現時点でわかっていることと考えたことを簡単に書いてみたいと思います。
花粉症のインスリン原因説
糖質を食べると高血糖を生じますが、高血糖は様々な問題を引き起こすためインスリンにより血糖値を下げようとします。血糖値を下げるために分泌されたインスリンに反応してトラブルが起こっている可能性があるようです。
花粉症の原因が一時的な高血糖であれば、極端な話インスリンを注射することで食後の高血糖を避けると症状が抑えられる可能性が考えられましたが、インスリンが原因であればそのような対策では症状は抑えられません。あるいは体内のインスリン分泌を促すような糖尿病治療薬による一時的高血糖対策も花粉症の治療に役立つ可能性を考えていましたが、インスリンが原因であれば治療薬とはなり得ないようです。
花粉症の症状と血糖値
日頃花粉症の対策のため抗アレルギー剤は飲まれていますが、3/12はお昼にラーメン半チャーハンセットを食べられた後は症状悪化して3時間半後に追加で抗アレルギー剤を内服されました。
丁度グラフで血糖値が下がり始める15時前に追加で抗アレルギー剤を飲まれました。
興味深いことに血糖値は150前後ですが、しばらく持続していることが症状悪化になんらかの関係があるのかもしれません。勿論花粉症の症状は花粉の量にも左右される可能性もありますが、食事の影響もありそうだということです。花粉の量は花粉症の患者さんにはコントロール出来ませんが、食事の量はコントロール出来るので因果関係あるいは相関関係の有無は気をつけてみても良いのではないかと思います。
このグラフからは高血糖(この方の場合150前後)が持続すると症状が悪化するようです。高血糖そのものが原因か高血糖に反応して分泌されるインスリンが原因かは現時点ではわかりません。しかし私が以前考えていた糖化産物が原因と考えるには、血糖値が低すぎると思える(糖化産物は血糖値の高さに依存して増えるため、糖化産物が増えるにしては血糖値が低すぎることと反応が早すぎる)ため、インスリンが原因の可能性が高いと考えています。この方にとっての高血糖によってインスリンが分泌され続け、そのことに反応して免疫異常が起こる可能性が高いと私は考えています。
インスリンが原因であればインスリンが分泌されにくい食べ方(食後高血糖を避ける食べ方)をするのが花粉症の根本的な治療法だと思います。
もし御興味あれば、血糖値の上がりにくい食べ方2017年版、病気を避ける理想の食べ方をご参照ください。
あくまでもお一人の方の血糖値と花粉症の関係に過ぎませんが、様々なことがわかりました。装着一週間の途中経過なのでまだまだわかることがあるかもしれません。一つの謎が解けると次の謎が生まれる。全ての謎を解くにはまだまだ時間がかかりそうです。